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養生訓 / 巻第二・総論下

一聖人やゝもすれば樂を說き給ふ。わが愚を以て、聖心おしはかり難しといへども、樂は是人のうまれつきたる天地の生理なり。樂まずして天地の道理にそむくべからず。つねに道を以て欲を制して、樂を失ふべからず。樂を失はざるは養生の本なり。

新字:一聖人やゝもすれば楽を説き給ふ。わが愚を以て、聖心おしはかり難しといへども、楽は是人のうまれつきたる天地の生理なり。楽まずして天地の道理にそむくべからず。つねに道を以て欲を制して、楽を失ふべからず。楽を失はざるは養生の本なり。

書き下し

一聖人ややもすれば楽を説き給ふ。わが愚を以て、聖心おしはかり難しといへども、楽は是人のうまれつきたる天地の生理なり。楽まずして天地の道理にそむくべからず。つねに道を以て欲を制して、楽を失ふべからず。楽を失はざるは養生の本なり。

現代語訳

聖人はともすれば楽しみを説かれます。私の愚かさでは聖人の心は推し量りがたいのですが、楽しみは人が生まれつき持っている天地の生きる理です。楽しまずに天地の道理に背いてはいけません。常に道によって欲を制して、楽しみを失ってはいけません。楽しみを失わないことが養生の本です。

解説

楽しむことは人に生まれつき備わった天地の道理であり、楽しみを失わないことが養生の本だと説いています。『論語』には「学びて時に之を習ふ、亦説ばしからずや」「之を楽しむ者に如かず」など楽しみを語る言葉が多く、益軒はそこに聖人の心を見ています。ただし欲にまかせる楽しみではなく、道によって欲を制した上での楽しみです。我慢一辺倒の健康法は長続きしません。楽しみながら節度を守ることこそ、益軒の養生の真髄です。

この章句が説くこと

楽しみ聖人欲道養生

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