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養生訓 / 巻第二・総論下

一養生の要は、自欺くことをいましめて、よく忍ぶにあり。自欺くとは、わが心に旣にあしきと知れる事を、きらはずしてするを云ふ。あしきと知りてするは、惡をきらふ事眞實ならず。是自欺くなり。欺くときは眞實ならざるなり。食の一事を以ていはば、多く食ふがあしきと知れども、あしきをきらふ心實ならざれば多くくらふ。是自欺くなり。其餘事も、皆これを以て知るべし。

新字:一養生の要は、自欺くことをいましめて、よく忍ぶにあり。自欺くとは、わが心に既にあしきと知れる事を、きらはずしてするを云ふ。あしきと知りてするは、悪をきらふ事真実ならず。是自欺くなり。欺くときは真実ならざるなり。食の一事を以ていはば、多く食ふがあしきと知れども、あしきをきらふ心実ならざれば多くくらふ。是自欺くなり。其余事も、皆これを以て知るべし。

書き下し

一養生の要は、自欺くことをいましめて、よく忍ぶにあり。自欺くとは、わが心に既にあしきと知れる事を、きらはずしてするを云ふ。あしきと知りてするは、悪をきらふ事真実ならず。是自欺くなり。欺くときは真実ならざるなり。食の一事を以ていはば、多く食ふがあしきと知れども、あしきをきらふ心実ならざれば多くくらふ。是自欺くなり。其余事も、皆これを以て知るべし。

現代語訳

養生の要は、自分を欺くことを戒めて、よく忍ぶことにあります。自分を欺くとは、自分の心ですでに悪いとわかっていることを、嫌わずにすることをいいます。悪いと知りながらするのは、悪を嫌う心が真実でないのです。これが自分を欺くことです。欺くときは真実ではありません。食事の一事でいえば、多く食べるのが悪いとわかっていても、悪を嫌う心が真実でなければ多く食べてしまいます。これが自分を欺くことです。そのほかのことも、みなこれによって知りなさい。

解説

『大学』の「其の意を誠にするとは、自ら欺くこと毋きなり」を養生に当てはめた一節です。悪いと知りながらやってしまうのは、悪を嫌う心が本物でないからだ、と益軒は見抜いています。食べ過ぎを例に出すあたりが実に身近です。朱子学者である益軒にとって、養生も心の修養と一つのものでした。わかっているのにやめられない習慣に向き合うとき、まず自分をごまかしていないかを問うことが、変わるための第一歩になるでしょう。

この章句が説くこと

誠自欺忍食事心

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