養生訓 / 巻第二・総論下
一凡よき事あしき事、皆ならひよりおこる。養生の愼つとめも亦しかり。つとめ行ひておこたらざるも、慾をつゝしみこらふる事も、つとめて習へば、後にはよき事になれて、常となりて苦しからず。又愼まずして、あしき事になれ習ひ、癖となりては、愼みつとめんとすれども、苦みてこらへがたし。
新字:一凡よき事あしき事、皆ならひよりおこる。養生の慎つとめも亦しかり。つとめ行ひておこたらざるも、慾をつゝしみこらふる事も、つとめて習へば、後にはよき事になれて、常となりて苦しからず。又慎まずして、あしき事になれ習ひ、癖となりては、慎みつとめんとすれども、苦みてこらへがたし。
書き下し
一凡よき事あしき事、皆ならひよりおこる。養生の慎つとめも亦しかり。つとめ行ひておこたらざるも、慾をつつしみこらふる事も、つとめて習へば、後にはよき事になれて、常となりて苦しからず。又慎まずして、あしき事になれ習ひ、癖となりては、慎みつとめんとすれども、苦みてこらへがたし。
現代語訳
およそよいことも悪いことも、みな習いから起こります。養生の慎みや努めもまた同じです。努め行って怠らないことも、欲を慎みこらえることも、努めて習えば、後にはよいことに慣れて、それが常となって苦しくありません。また慎まずに悪いことに慣れ親しみ、それが癖となってしまうと、慎み努めようとしても、苦しくてこらえがたくなります。
解説
良い習慣も悪い習慣も「ならひ」、つまり繰り返しから生まれると説いています。初めはつらい節制も続ければ当たり前になり苦しくなくなる一方、悪い癖がつくと改めるのが苦しくなる、という指摘は習慣の本質をよく捉えています。益軒は『和俗童子訓』で幼いうちからの教えを重んじましたが、それも同じ考えに立っています。早寝早起きや運動も、最初の数週間を乗り越えれば楽になるものです。習慣づくりの心構えとして今も役立ちます。
この章句が説くこと
習慣養生癖慎み努力
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