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養生訓 / 巻第二・総論下

一貧賤なる人も、道を樂んで日をわたらば、大なる幸なり。しからば、一日を過す間も、その時刻永くして樂多かるべし。いはんや一とせを過ぐる間、四の時をりをりの樂、日々にきはまりなきをや。如此にして年を多くかさねば、其樂長久にして、其しるしは壽かるべし。知者の樂、仁者の壽は、わが輩及びがたしといへども樂より壽にいたれる次序は、相似たるなるべし。

新字:一貧賤なる人も、道を楽んで日をわたらば、大なる幸なり。しからば、一日を過す間も、その時刻永くして楽多かるべし。いはんや一とせを過ぐる間、四の時をりをりの楽、日々にきはまりなきをや。如此にして年を多くかさねば、其楽長久にして、其しるしは寿かるべし。知者の楽、仁者の寿は、わが輩及びがたしといへども楽より寿にいたれる次序は、相似たるなるべし。

書き下し

一貧賤なる人も、道を楽んで日をわたらば、大なる幸なり。しからば、一日を過す間も、その時刻永くして楽多かるべし。いはんや一とせを過ぐる間、四の時をりをりの楽、日々にきはまりなきをや。如此にして年を多くかさねば、其楽長久にして、其しるしは寿かるべし。知者の楽、仁者の寿は、わが輩及びがたしといへども楽より寿にいたれる次序は、相似たるなるべし。

現代語訳

貧しく身分の低い人でも、道を楽しんで日を送るなら、大きな幸いです。そうであれば、一日を過ごす間も、その時間が長く感じられて楽しみが多いでしょう。まして一年を過ごす間の、四季折々の楽しみが日々に尽きないことは言うまでもありません。このようにして年を多く重ねれば、その楽しみは長く続き、そのしるしとして長生きするでしょう。知者の楽しみ、仁者の長寿は、私どもには及びがたいといっても、楽しみから長寿に至る順序は似ているはずです。

解説

貧しくとも道を楽しんで暮らせば、一日が長く豊かに感じられ、それが長寿につながると説いています。「知者の楽、仁者の寿」は『論語』雍也篇の「知者は楽しみ、仁者は寿し」を踏まえた言葉です。益軒は晩年に『楽訓』を著したほど「楽しむこと」を重んじました。お金や地位がなくても、四季の移ろいや学びの喜びを味わえる人は心が満ち、健やかに年を重ねられます。幸福感と健康の結びつきを説く今の研究とも響き合う一節です。

この章句が説くこと

楽しみ長寿貧賤論語道

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