養生訓 / 巻第二・総論下
一養生の道、多くいふ事を用ひず。只飮食をすくなくし、病をたすくる物を食はず、色慾をつゝしみ、精氣ををしみ、怒哀憂思を過さず、心を平らかにして氣を和け、言をすくなくし、無用の事をはぶき、風寒暑濕の外邪をふせぎ、又時々身を動かし、步行し、時ならずしてねぶり臥す事なく、食氣をめぐらすべし。是養生の要なり。
新字:一養生の道、多くいふ事を用ひず。只飲食をすくなくし、病をたすくる物を食はず、色慾をつゝしみ、精気ををしみ、怒哀憂思を過さず、心を平らかにして気を和け、言をすくなくし、無用の事をはぶき、風寒暑湿の外邪をふせぎ、又時々身を動かし、歩行し、時ならずしてねぶり臥す事なく、食気をめぐらすべし。是養生の要なり。
書き下し
一養生の道、多くいふ事を用ひず。只飲食をすくなくし、病をたすくる物を食はず、色慾をつつしみ、精気ををしみ、怒哀憂思を過さず、心を平らかにして気を和け、言をすくなくし、無用の事をはぶき、風寒暑湿の外邪をふせぎ、又時々身を動かし、歩行し、時ならずしてねぶり臥す事なく、食気をめぐらすべし。是養生の要なり。
現代語訳
養生の道は、多くを語る必要はありません。ただ飲食を少なくし、病を助長する物を食べず、色欲を慎み、精気を惜しみ、怒り・哀しみ・憂い・思い悩みを過ごさず、心を平らかにして気を和らげ、言葉を少なくし、無用のことを省き、風・寒さ・暑さ・湿気という外からの邪気を防ぎ、またときどき体を動かし、歩き、時ならぬときに眠って横になることなく、食べた物の気をめぐらせなさい。これが養生の要点です。
解説
養生の要点を一息に並べた、いわば『養生訓』の要約です。食を少なく、色欲を慎み、感情を過ごさず、言葉を少なく、外邪を防ぎ、体を動かし、時ならぬ眠りを避ける。どれも特別な秘法ではなく、日々の小さな心がけです。益軒が「多くいふ事を用ひず」と言うのは、養生の難しさが知識ではなく実行にあると見ていたからでしょう。健康法の情報があふれる今でも、結局はこうした基本を守ることが一番の近道だと教えてくれます。
この章句が説くこと
養生飲食色欲心外邪
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