養生訓 / 巻第一・総論上
慾をおさへ、心を平にし、氣を和かにして暴くせず、靜かにして騒がしからず、心はつねに和樂なるべし。憂ひ苦むべからず。是皆内慾をこらへて、元氣を養ふ道なり。又風寒暑濕の外邪を防ぎてやぶられず。此の內外の數の愼は、養生の大なる條目なり。是をよく愼み守るべし。
新字:慾をおさへ、心を平にし、気を和かにして暴くせず、静かにして騒がしからず、心はつねに和楽なるべし。憂ひ苦むべからず。是皆内慾をこらへて、元気を養ふ道なり。又風寒暑湿の外邪を防ぎてやぶられず。此の内外の数の慎は、養生の大なる条目なり。是をよく慎み守るべし。
書き下し
慾をおさへ、心を平にし、気を和かにして暴くせず、静かにして騒がしからず、心はつねに和楽なるべし。憂ひ苦むべからず。是皆内慾をこらへて、元気を養ふ道なり。又風寒暑湿の外邪を防ぎてやぶられず。此の内外の数の慎は、養生の大なる条目なり。是をよく慎み守るべし。
現代語訳
欲をおさえ、心を平らかにし、気を和やかにして荒くせず、静かにして騒がしくせず、心はいつも和やかで楽しくあるべきです。憂い苦しんではなりません。これらはみな内欲をこらえて元気を養う道です。また風・寒・暑・湿の外邪を防いで、それに破られないようにします。この内と外の数々の慎みは、養生の大きな項目です。これをよく慎んで守るべきです。
解説
前の条に続いて、心の持ち方をまとめています。欲をおさえるといっても、歯を食いしばって我慢し続けるのではなく、心を平らかに保ち、和やかに楽しむことが肝心だと益軒は言います。晩年の益軒は『楽訓』で人生の楽しみを説いており、養生と楽しみを一体に考えていました。ストレスを抱え込むこと自体が体を損なうという視点は現代の心身医学にも通じます。慎みと楽しみを両立させることが、長続きする養生のこつです。
この章句が説くこと
養生心和楽慎み外邪
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