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大和俗訓 / 巻之七・躬行下

一夜にして後、けふのわが身のなせるわざを、よくかへりみて、ひが事あらば、後日のかゞみとして、改めん事を思ふべし。每夜かくの如くすべし。一人の身の上、さしあたりて爲すべきこと多し。よく思ひて、油斷なく、早くつとむべし。油斷あれば、急なる事はさしおきて急がず、急ならざる事をいそぎて勤む。緩急をかんがへて、前後の次第を失ふべからす。さして用なき事をつとめ、いたづら事を好みて日をおくるは、はかなしといふべし。若き時は、殊にすべきわざにも心を用ひずして、むなしく過すこと多し。よくよく心をつくべし。

新字:一夜にして後、けふのわが身のなせるわざを、よくかへりみて、ひが事あらば、後日のかゞみとして、改めん事を思ふべし。毎夜かくの如くすべし。一人の身の上、さしあたりて為すべきこと多し。よく思ひて、油断なく、早くつとむべし。油断あれば、急なる事はさしおきて急がず、急ならざる事をいそぎて勤む。緩急をかんがへて、前後の次第を失ふべからす。さして用なき事をつとめ、いたづら事を好みて日をおくるは、はかなしといふべし。若き時は、殊にすべきわざにも心を用ひずして、むなしく過すこと多し。よくよく心をつくべし。

書き下し

一夜にして後、けふのわが身のなせるわざを、よくかへりみて、ひが事あらば、後日のかがみとして、改めん事を思ふべし。毎夜かくの如くすべし。一人の身の上、さしあたりて為すべきこと多し。よく思ひて、油断なく、早くつとむべし。油断あれば、急なる事はさしおきて急がず、急ならざる事をいそぎて勤む。緩急をかんがへて、前後の次第を失ふべからす。さして用なき事をつとめ、いたづら事を好みて日をおくるは、はかなしといふべし。若き時は、殊にすべきわざにも心を用ひずして、むなしく過すこと多し。よくよく心をつくべし。

現代語訳

夜になってから、今日の自分のしたことをよくかえりみて、間違ったことがあれば、後日の鏡として改めることを思いなさい。毎夜このようにしなさい。人の身の上には、差し当たってなすべきことが多い。よく思って、油断なく、早く努めなさい。油断があれば、急なことはさしおいて急がず、急でないことを急いで努めます。緩急を考えて、前後の順序を失ってはいけません。それほど用もないことを努め、むだごとを好んで日を送るのは、はかないと言うべきです。若いときは、とくにすべきことにも心を用いずに、むなしく過ごすことが多い。よくよく心をつけなさい。

解説

毎晩その日の行いを振り返り、改めるべきことを明日の手本にせよという教えは、『論語』学而篇の曾子の「吾日に三たび吾が身を省みる」に通じる日課です。後半は、急ぐべきことと後回しにしてよいことを見きわめよという、優先順位の教えです。油断していると、大事な急用を放っておいて、どうでもよいことに時間を使ってしまうというのは、今の時間管理論でいう「緊急でないが重要なこと」の議論そのものです。日記や一日の振り返りの習慣に通じる知恵です。

この章句が説くこと

自省優先順位時間日課若さ

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