大和俗訓 / 巻之七・躬行下
一凡あやまりは、おほくは初一時の快きを求むるより出でて、後はながき憂くるしみとなる。はじめ少し心を用ひ、少し慾をこらふれば、其ちからを用ふる事はすこしなれど、しるしを得て、福となる事は大なり。少しの間、少しの事をこらへずして、大なる禍となる事多し。
書き下し
一凡あやまりは、おほくは初一時の快きを求むるより出でて、後はながき憂くるしみとなる。はじめ少し心を用ひ、少し慾をこらふれば、其ちからを用ふる事はすこしなれど、しるしを得て、福となる事は大なり。少しの間、少しの事をこらへずして、大なる禍となる事多し。
現代語訳
およそ誤りは、多くは初めの一時の快さを求めることから出て、後には長い憂いと苦しみとなります。初めに少し心を用い、少し欲をこらえれば、その力を用いることは少しでも、効果を得て福となることは大きい。少しの間、少しのことをこらえずに、大きな禍となることが多いのです。
解説
過ちの多くは、その場の快楽や気楽さを求めることから始まり、後に長い苦しみをもたらすという教えです。逆に、最初にほんの少し我慢すれば、その労力はわずかでも大きな福を得られると益軒は言います。つい食べ過ぎる、つい夜更かしする、つい先延ばしする。いずれも一時の快さと引き換えに、あとで健康や仕事に大きなつけが回ってきます。最初の小さな我慢こそが最も効率のよい投資だという視点は、自己管理の本質を突いています。
この章句が説くこと
欲堪忍節制過ち福
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