大和俗訓 / 巻之七・躬行下
一世に住むこと一日なれば、一日の善人となるべし。一日も善を行はずして、日を送るべからず。公儀の官職にあづかりて、官に居ること一日ならば、一日の善事をなすべし。一日も善を行はずして、官をむなしくすべからず。世に久しく住みて、善行なきは、一生を空しくするなり。官職に居て善行なきは、官職を空しくするなり。此二は、大なる恥なり。
書き下し
一世に住むこと一日なれば、一日の善人となるべし。一日も善を行はずして、日を送るべからず。公儀の官職にあづかりて、官に居ること一日ならば、一日の善事をなすべし。一日も善を行はずして、官をむなしくすべからず。世に久しく住みて、善行なきは、一生を空しくするなり。官職に居て善行なきは、官職を空しくするなり。此二は、大なる恥なり。
現代語訳
世に住むことが一日であれば、一日の善人となりなさい。一日も善を行わずに日を送ってはいけません。公の官職にあずかって、官に就くことが一日であれば、一日の善事をしなさい。一日も善を行わずに、官をむなしくしてはいけません。世に久しく住んで善行がないのは、一生をむなしくすることです。官職にあって善行がないのは、官職をむなしくすることです。この二つは大きな恥です。
解説
一日生きるなら一日分の善を、一日職に就くなら一日分の良い仕事をせよという、日々の積み重ねを説いた教えです。長く生きても善行がなければ一生を無駄にし、役職に就いても何もしなければその職を無駄にすると益軒は言います。とくに公の職にある者への戒めは、役職に見合った働きをせずに地位にとどまることへの批判として、今の公務員や管理職にもそのまま通じます。今日という一日を誰かの役に立てたかと、寝る前に振り返りたくなる一条です。
この章句が説くこと
善官職一日責任恥
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