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正法眼蔵随聞記 / 巻六

示して云く、人を愧づべくんば明眼の人を愧づべし、予在宋の時天童の淨和尙、侍者に請するにいはく、元子は外國人たりといへども、器量人なりと云ふて請す、予堅く此を辭す、其故は和國に聞へん爲にも、學道の稽古の爲にも、大切なれども、衆中に具眼の人ありて、外國人として大叢林の侍者たらんこと、大國に人なきに似たりと難ずることやあらん、最もはぢつべしと思ひて、書狀を以て此旨をのべしかば、淨和尙聞て、國を重んじ、人を愧づることを感じ、許して更に請し玉はざりしなり、

新字:示して云く、人を愧づべくんば明眼の人を愧づべし、予在宋の時天童の浄和尚、侍者に請するにいはく、元子は外国人たりといへども、器量人なりと云ふて請す、予堅く此を辞す、其故は和国に聞へん為にも、学道の稽古の為にも、大切なれども、衆中に具眼の人ありて、外国人として大叢林の侍者たらんこと、大国に人なきに似たりと難ずることやあらん、最もはぢつべしと思ひて、書状を以て此旨をのべしかば、浄和尚聞て、国を重んじ、人を愧づることを感じ、許して更に請し玉はざりしなり、

書き下し

示して云く、人を愧づべくんば明眼の人を愧づべし、予在宋の時天童の浄和尚、侍者に請するにいはく、元子は外国人たりといへども、器量人なりと云ふて請す、予堅く此を辞す、其故は和国に聞へん為にも、学道の稽古の為にも、大切なれども、衆中に具眼の人ありて、外国人として大叢林の侍者たらんこと、大国に人なきに似たりと難ずることやあらん、最もはぢつべしと思ひて、書状を以て此旨をのべしかば、浄和尚聞て、国を重んじ、人を愧づることを感じ、許して更に請し玉はざりしなり、

現代語訳

示して言われた。人に恥じるのなら、眼の明らかな人に恥じるべきである。私が宋にいた時、天童山の如浄和尚が私を侍者に請うて言われた、元子は外国人ではあるけれども器量のある人だ、と。私は堅くこれを辞退した。その理由は、日本に聞こえるためにも、学道の稽古のためにも大切なことではあるけれども、僧の中に眼の具わった人がいて、外国人が大叢林の侍者になるとは大国に人がいないようだ、と非難することがあるかもしれない。それは最も恥ずべきことだと思って、書状でこの旨を述べたところ、如浄和尚は聞いて、国を重んじ人に恥じることに感じ入り、許してそれ以上請われなかった。

解説

道元が宋で如浄の侍者を辞退した実話。名誉になる話であり修行にも役立つと自分でも認めながら、眼のある者がどう見るかを基準にして退いている。恥じる相手を明眼の人に置くという冒頭の一句が、そのまま身をもって示された条である。

この章句が説くこと

明眼辞退名利如浄侍者

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