大和俗訓 / 巻之七・躬行下
一君子の道は、すべき事を行ひ、すまじき事をせず。これ義なり。好むべき事を好み、好むまじき事を好まず。是善なり。君子の道はかくの如きのみ。是孟子の語意なり。一人の知は目のごとし。人の目はよく百里の外を見れども、わが睫を見がたし。人の智よく他人の惡を知れども、わが身の惡を知らず。人をみることは常に明なり。私なければなり。自ら見ることは常にくらし。私あればなり。こゝを以て、人の過をせむる事はきびしく、わが惡をゆるす事はゆるやかなり。
新字:一君子の道は、すべき事を行ひ、すまじき事をせず。これ義なり。好むべき事を好み、好むまじき事を好まず。是善なり。君子の道はかくの如きのみ。是孟子の語意なり。一人の知は目のごとし。人の目はよく百里の外を見れども、わが睫を見がたし。人の智よく他人の悪を知れども、わが身の悪を知らず。人をみることは常に明なり。私なければなり。自ら見ることは常にくらし。私あればなり。こゝを以て、人の過をせむる事はきびしく、わが悪をゆるす事はゆるやかなり。
書き下し
一君子の道は、すべき事を行ひ、すまじき事をせず。これ義なり。好むべき事を好み、好むまじき事を好まず。是善なり。君子の道はかくの如きのみ。是孟子の語意なり。一人の知は目のごとし。人の目はよく百里の外を見れども、わが睫を見がたし。人の智よく他人の悪を知れども、わが身の悪を知らず。人をみることは常に明なり。私なければなり。自ら見ることは常にくらし。私あればなり。ここを以て、人の過をせむる事はきびしく、わが悪をゆるす事はゆるやかなり。
現代語訳
君子の道は、すべきことを行い、すべきでないことをしません。これが義です。好むべきことを好み、好むべきでないことを好みません。これが善です。君子の道はこのようなものです。これは孟子の言葉の意味です。人の知恵は目のようなものです。人の目はよく百里の外を見ても、自分のまつげは見えません。人の知恵はよく他人の悪を知っても、自分の身の悪を知りません。人を見ることはいつも明らかです。私心がないからです。自分を見ることはいつも暗い。私心があるからです。ですから、人の過ちを責めることは厳しく、自分の悪を許すことはゆるやかなのです。
解説
この章句が説くこと
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