大和俗訓 / 巻之七・躬行下
一わが身の過を改めんため、人の諫を好むこと眞實ならば、いさむるもの多からん。酒食は人の好む物なれば、人辭退して拒けども、しひて飮ませ食はしむるは、世のならひなり。是人の眞實に酒食を好む事を知ればなり。酒食を好む如く、諫を好み、わが過を改めば、諫を言ふ人多くして、我が身の過なかるべし。
新字:一わが身の過を改めんため、人の諫を好むこと真実ならば、いさむるもの多からん。酒食は人の好む物なれば、人辞退して拒けども、しひて飲ませ食はしむるは、世のならひなり。是人の真実に酒食を好む事を知ればなり。酒食を好む如く、諫を好み、わが過を改めば、諫を言ふ人多くして、我が身の過なかるべし。
書き下し
一わが身の過を改めんため、人の諫を好むこと真実ならば、いさむるもの多からん。酒食は人の好む物なれば、人辞退して拒けども、しひて飲ませ食はしむるは、世のならひなり。是人の真実に酒食を好む事を知ればなり。酒食を好む如く、諫を好み、わが過を改めば、諫を言ふ人多くして、我が身の過なかるべし。
現代語訳
自分の身の過ちを改めるために、人の諫めを好むことが真実であれば、諫める者は多くなるでしょう。酒食は人の好むものなので、人が辞退して拒んでも、無理に飲ませ食べさせるのは世の習いです。これは人が真実に酒食を好むことを知っているからです。酒食を好むように諫めを好み、自分の過ちを改めれば、諫めを言う人が多くなって、自分の身の過ちはなくなるでしょう。
解説
人が酒やごちそうを本当に好むことを周りが知っているから、遠慮しても勧められる。それと同じように、自分が本気で忠告を喜ぶ人だと周りに知られれば、忠告してくれる人が自然と増えると益軒は言います。ユーモアのある比喩ですが、要点は鋭いものです。忠告を嫌な顔で聞く人には誰も忠告しなくなります。指摘を歓迎し、実際に改めて見せることが、周りからの率直な意見を引き出す一番の方法なのです。組織のリーダーにも通じる知恵です。
この章句が説くこと
諫め過ち改善傾聴忠告
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