大和俗訓 / 巻之七・躬行下
一酒食をすごすは、病を生ずるの本なり。言をつゝしまざるは、禍の本なり。思案せざるは、あやまちの本なり。私欲ふかきは、身を殺すの本なり。怒をこらへざるは、爭の本なり。儉約ならざるは、困窮の本なり。此六本去らざれば、身と家とを保ちがたし。つとめて是を去るべし。
新字:一酒食をすごすは、病を生ずるの本なり。言をつゝしまざるは、禍の本なり。思案せざるは、あやまちの本なり。私欲ふかきは、身を殺すの本なり。怒をこらへざるは、争の本なり。倹約ならざるは、困窮の本なり。此六本去らざれば、身と家とを保ちがたし。つとめて是を去るべし。
書き下し
一酒食をすごすは、病を生ずるの本なり。言をつつしまざるは、禍の本なり。思案せざるは、あやまちの本なり。私欲ふかきは、身を殺すの本なり。怒をこらへざるは、争の本なり。倹約ならざるは、困窮の本なり。此六本去らざれば、身と家とを保ちがたし。つとめて是を去るべし。
現代語訳
酒食を過ごすのは、病を生じる本です。言葉をつつしまないのは、禍の本です。思案しないのは、過ちの本です。私欲が深いのは、身を殺す本です。怒りをこらえないのは、争いの本です。倹約しないのは、困窮の本です。この六つの本を去らなければ、身と家を保つことは難しい。努めてこれを去りなさい。
解説
身を滅ぼし家を傾ける原因を六つに整理した、覚えやすい一条です。飲み食いの過ぎは病、軽率な言葉は災い、思慮不足は過ち、強欲は破滅、怒りは争い、浪費は貧困を招くというのです。健康、人間関係、判断、金銭という暮らしの主要な領域がすべて含まれています。どれも一時の気のゆるみから始まるものばかりで、日々の点検項目として手帳に書いておきたくなる内容です。この六つを避けるだけで、人生の大きな失敗の多くは防げるでしょう。
この章句が説くこと
養生倹約慎み怒り私欲
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