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大和俗訓 / 巻之七・躬行下

一人の身に、氣質のあしき所と、過とあるは、身に病あるが如し。病ある人、醫をまねき藥を服し、針灸をして、病をせめざれば癒えず。身に過ある人、其過をせめざれば、たとへば病ある人の、藥を用ひ、針灸をして、病をせめざれば、病いえざるか如し。氣質を變じ改むるは、きはめて難し。つねに心を用ふべし。故に前にも言へれども、又くりかへして人に告ぐるのみ。

新字:一人の身に、気質のあしき所と、過とあるは、身に病あるが如し。病ある人、医をまねき薬を服し、針灸をして、病をせめざれば癒えず。身に過ある人、其過をせめざれば、たとへば病ある人の、薬を用ひ、針灸をして、病をせめざれば、病いえざるか如し。気質を変じ改むるは、きはめて難し。つねに心を用ふべし。故に前にも言へれども、又くりかへして人に告ぐるのみ。

書き下し

一人の身に、気質のあしき所と、過とあるは、身に病あるが如し。病ある人、医をまねき薬を服し、針灸をして、病をせめざれば癒えず。身に過ある人、其過をせめざれば、たとへば病ある人の、薬を用ひ、針灸をして、病をせめざれば、病いえざるか如し。気質を変じ改むるは、きはめて難し。つねに心を用ふべし。故に前にも言へれども、又くりかへして人に告ぐるのみ。

現代語訳

人の身に、気質の悪いところと過ちがあるのは、身に病があるようなものです。病のある人は、医者を招き、薬を飲み、鍼灸をして、病を攻めなければ治りません。身に過ちのある人が、その過ちを攻めなければ、たとえば病のある人が、薬を用い鍼灸をして病を攻めなければ、病が治らないようなものです。気質を変え改めるのは、きわめて難しい。いつも心を用いなさい。だから前にも言ったけれども、また繰り返して人に告げるのです。

解説

躬行下の巻は、過ちを病にたとえる話から始まります。病気が薬や鍼灸で積極的に治療しなければ治らないように、性格の癖や過ちも、自分から意識して攻めなければ直らないと益軒は言います。医学にも通じた益軒らしい比喩です。気質を変えるのは極めて難しいので、前の巻で述べたことでもあえて繰り返すという言葉に、教える者の熱意が表れています。悪い習慣を直したいとき、放っておけば自然に治るものではないと自覚することが第一歩です。

この章句が説くこと

気質過ち改善養生克己

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