大和俗訓 / 巻之六・躬行上
一怒はつよく、欲はふかき故、是にかちがたし。力をつくして堪忍すべし。力よわければ、怒と欲にかちがたし。忍の字は、心の上に刄を書く。怒と欲の心起るを斷去ること刄を以て切りたつが如くなるべし。是吳臨川が、忍の封をつくりし說なり。又敵にむかひて戰ふが如く、十分の力を用ふべし。如此せざれば、怒と欲とにまけやすし。堪忍の工夫なく、怒と慾とにかたざれば、平生の學問も用にたゝず、いたづら事なり。
新字:一怒はつよく、欲はふかき故、是にかちがたし。力をつくして堪忍すべし。力よわければ、怒と欲にかちがたし。忍の字は、心の上に刄を書く。怒と欲の心起るを断去ること刄を以て切りたつが如くなるべし。是呉臨川が、忍の封をつくりし説なり。又敵にむかひて戦ふが如く、十分の力を用ふべし。如此せざれば、怒と欲とにまけやすし。堪忍の工夫なく、怒と慾とにかたざれば、平生の学問も用にたゝず、いたづら事なり。
書き下し
一怒はつよく、欲はふかき故、是にかちがたし。力をつくして堪忍すべし。力よわければ、怒と欲にかちがたし。忍の字は、心の上に刄を書く。怒と欲の心起るを断去ること刄を以て切りたつが如くなるべし。是呉臨川が、忍の封をつくりし説なり。又敵にむかひて戦ふが如く、十分の力を用ふべし。如此せざれば、怒と欲とにまけやすし。堪忍の工夫なく、怒と慾とにかたざれば、平生の学問も用にたたず、いたづら事なり。
現代語訳
怒りは強く、欲は深いので、これに勝つのは難しい。力を尽くして堪忍しなさい。力が弱ければ、怒りと欲には勝ちがたい。忍の字は心の上に刃を書きます。怒りと欲の心が起こるのを断ち去ることは、刃で切り断つようにしなさい。これが呉臨川の、忍の字についての説です。また敵に向かって戦うように、十分の力を用いなさい。このようにしなければ、怒りと欲に負けやすい。堪忍の工夫がなく、怒りと欲に勝たなければ、ふだんの学問も役に立たず、むだごとです。
解説
この章句が説くこと
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