大和俗訓 / 巻之四・心術下
一心氣和平にして人をとがめず、わが身にかへり求め、己をせむれば、身をさまり樂多し。此工夫甚益あり。常にこれを以てわが心ををさむべし。もし此工夫を忘れば、必道をうしなひ、樂をうしなふ。古語に曰、君子は己にもとむ、小人は人に求むといへり。
新字:一心気和平にして人をとがめず、わが身にかへり求め、己をせむれば、身をさまり楽多し。此工夫甚益あり。常にこれを以てわが心ををさむべし。もし此工夫を忘れば、必道をうしなひ、楽をうしなふ。古語に曰、君子は己にもとむ、小人は人に求むといへり。
書き下し
一心気和平にして人をとがめず、わが身にかへり求め、己をせむれば、身をさまり楽多し。此工夫甚益あり。常にこれを以てわが心ををさむべし。もし此工夫を忘れば、必道をうしなひ、楽をうしなふ。古語に曰、君子は己にもとむ、小人は人に求むといへり。
現代語訳
心気を和平にして人をとがめず、自分の身にかえって求め、自分を責めれば、身は治まり楽しみが多い。この工夫はたいへん益があります。いつもこれによって自分の心を治めなさい。もしこの工夫を忘れれば、必ず道を失い、楽しみを失います。古語に「君子は己に求め、小人は人に求む」とあります。
解説
うまくいかないとき、原因を他人ではなく自分に求めよという教えで、『論語』衛霊公篇の「君子は諸を己に求め、小人は諸を人に求む」を引いています。益軒は、この工夫を続ければ身が治まるだけでなく楽しみも増えると言います。人のせいにしているあいだは、状況を変える力は自分の手にありませんが、自分に原因を探せば改善の手立てが見えてくるからです。チームの成果が上がらないとき、まず自分にできることを問うリーダーの姿勢は、周りの信頼も集めるでしょう。
この章句が説くこと
自反君子心気楽しみ論語
関連する章句
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論語・顔淵篇司馬牛、君子を問う。子曰く、「君子は憂えず懼れず。」曰く、「憂えず懼れざれば、斯れ之を君子と謂うか。」子曰く、「内に省みて疚しからずんば、夫れ何をか憂え何をか懼れん。」
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