大和俗訓 / 巻之三・心術上
一人は、天地の子なり。天地を法として行ふべし。天地は別に心なし、萬物をあはれむを以て心とせり。別にしわざなし、萬物を產み出し養ふを以てわざとせり。人も亦この心をうけて、常に人に惠みあはれむを以て心とすべし。別の念あるべからず。人をたすけ救ふを以てわざとすべし。別のわざあるべからず。故に天下の人、王公より以下庶人にいたる迄、日々行ふべき善事あり。善を行ふべき位にあり、時にあたらば、むなしく過ぐべからず。是天につかへ奉りて、天職をつとむるなり。
新字:一人は、天地の子なり。天地を法として行ふべし。天地は別に心なし、万物をあはれむを以て心とせり。別にしわざなし、万物を産み出し養ふを以てわざとせり。人も亦この心をうけて、常に人に恵みあはれむを以て心とすべし。別の念あるべからず。人をたすけ救ふを以てわざとすべし。別のわざあるべからず。故に天下の人、王公より以下庶人にいたる迄、日々行ふべき善事あり。善を行ふべき位にあり、時にあたらば、むなしく過ぐべからず。是天につかへ奉りて、天職をつとむるなり。
書き下し
一人は、天地の子なり。天地を法として行ふべし。天地は別に心なし、万物をあはれむを以て心とせり。別にしわざなし、万物を産み出し養ふを以てわざとせり。人も亦この心をうけて、常に人に恵みあはれむを以て心とすべし。別の念あるべからず。人をたすけ救ふを以てわざとすべし。別のわざあるべからず。故に天下の人、王公より以下庶人にいたる迄、日々行ふべき善事あり。善を行ふべき位にあり、時にあたらば、むなしく過ぐべからず。是天につかへ奉りて、天職をつとむるなり。
現代語訳
人は天地の子です。天地を手本として行うべきです。天地には別の心はなく、万物をあわれむことを心としています。別の仕業はなく、万物を生み出し養うことを仕業としています。人もまたこの心を受けて、いつも人を恵みあわれむことを心とすべきです。ほかの思いがあってはいけません。人を助け救うことを仕業とすべきです。ほかの仕業があってはいけません。ですから天下の人は、王公から庶民に至るまで、日々行うべき善い事があります。善を行える立場にあり、その時に当たったなら、むなしく過ごしてはいけません。これが天にお仕えして、天から与えられた職分を務めることです。
解説
この章句が説くこと
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