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大和俗訓 / 巻之二・為学下

一本朝の儒術古來二千歳、寥々たりといへども、太平日久しければ、世の人文もいよいよやうやく開けぬべし。しからば今より百年の後は、文字の習も拙からず、義理の學も大に明かになるべし。文明の國となりて、誠に君子國の名にかなふべし。唯今より後、學術の正しくして賤しからず、學者の志眞實にして、聖人の道をあつくたふとび信ぜむ事をこひねがふのみ。

新字:一本朝の儒術古来二千歳、寥々たりといへども、太平日久しければ、世の人文もいよいよやうやく開けぬべし。しからば今より百年の後は、文字の習も拙からず、義理の学も大に明かになるべし。文明の国となりて、誠に君子国の名にかなふべし。唯今より後、学術の正しくして賤しからず、学者の志真実にして、聖人の道をあつくたふとび信ぜむ事をこひねがふのみ。

書き下し

一本朝の儒術古来二千歳、寥々たりといへども、太平日久しければ、世の人文もいよいよやうやく開けぬべし。しからば今より百年の後は、文字の習も拙からず、義理の学も大に明かになるべし。文明の国となりて、誠に君子国の名にかなふべし。唯今より後、学術の正しくして賤しからず、学者の志真実にして、聖人の道をあつくたふとび信ぜむ事をこひねがふのみ。

現代語訳

本朝の儒学は古来二千年、ひっそりとさびしいものでしたが、太平の世が久しく続いているので、世の文化もいよいよだんだんと開けていくでしょう。そうであれば、今から百年の後には、文字の習いも拙くなく、義理の学問も大いに明らかになるでしょう。文明の国となって、まことに君子国の名にかなうでしょう。ただ今から後、学び方が正しく卑しくなく、学ぶ者の志が真実で、聖人の道を厚く尊び信じることを願うばかりです。

解説

巻之二を締めくくる、未来への願いの言葉です。日本の儒学は長く振るわなかったが、太平の世が続けば百年後には学問が大いに明らかになり、君子国の名にふさわしい文明の国になるだろうと益軒は望みます。宝永5年(1708年)、79歳の益軒が百年先を見据えていたことに胸を打たれます。実際その後、藩校や寺子屋が広がり学問は庶民にまで及びました。自分の見られない未来のために今できることをする姿勢を教えてくれます。

この章句が説くこと

学問未来儒学文明志

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