導師導古典を学びたいすべての人に

大和俗訓 / 巻之二・為学下

一書を讀み學問せんとする人あれば、彼きらふ人、色々いひ妨げて、學問する事をそしる。誠ぞと心得て、學問を止むる人多し。又我が子に書を讀ませんとするに、かのきらふもの、書を讀めば病者になり、氣へり命みじかくなるなど言ひておどせば、親は子をいつくしむ心ふかくして、もし左もあるべきかと思ひて、書を讀ませざるゆゑ、其子は一生文盲に愚かにて身ををはる。あはれむべし。

新字:一書を読み学問せんとする人あれば、彼きらふ人、色々いひ妨げて、学問する事をそしる。誠ぞと心得て、学問を止むる人多し。又我が子に書を読ませんとするに、かのきらふもの、書を読めば病者になり、気へり命みじかくなるなど言ひておどせば、親は子をいつくしむ心ふかくして、もし左もあるべきかと思ひて、書を読ませざるゆゑ、其子は一生文盲に愚かにて身ををはる。あはれむべし。

書き下し

一書を読み学問せんとする人あれば、彼きらふ人、色々いひ妨げて、学問する事をそしる。誠ぞと心得て、学問を止むる人多し。又我が子に書を読ませんとするに、かのきらふもの、書を読めば病者になり、気へり命みじかくなるなど言ひておどせば、親は子をいつくしむ心ふかくして、もし左もあるべきかと思ひて、書を読ませざるゆゑ、其子は一生文盲に愚かにて身ををはる。あはれむべし。

現代語訳

書を読み学問をしようとする人がいると、学問を嫌う人がいろいろ言って妨げ、学問することをそしります。それを本当だと思って、学問をやめる人が多いのです。また自分の子に書を読ませようとすると、学問を嫌う者が「書を読めば病気になり、気が減って命が短くなる」などと言って脅すので、親は子をかわいがる心が深いあまり、もしやそうかもしれないと思って書を読ませないため、その子は一生文字を知らず愚かなままで身を終えます。憐れむべきことです。

解説

学問を嫌う人の「本を読むと病気になる、命が縮む」といった言葉に惑わされ、親が子に読書をさせない当時の風潮を嘆いた条です。子を思う親心がかえって子の一生を狭めてしまうという指摘は切実です。根拠のない噂や、周囲の否定的な声に流されて大切な学びをあきらめてしまうことは、今も形を変えて起こります。子どもの可能性を守るには、親自身が確かな判断を持つことが欠かせないと教えてくれる一節です。

この章句が説くこと

学問読書子育てそしり親

関連する章句

古典の入門書『人生の教科書』の表紙

人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。

古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。

本の中身を見る
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)+師導1か月=700円 本を見る