大和俗訓 / 巻之一・為学上
一孔子曰、學而不止、闔棺而止。人と生れては人の道を知り、此身をよくをさめて、君子となる事をつとめとすべし。是人と生れたるかひあらんとなり。しかれば人となるべき道を學ぶ事、おこたるべからず。一息も猶のこれる内は、學ぶことやむべからず。死して後やむべし。
新字:一孔子曰、学而不止、闔棺而止。人と生れては人の道を知り、此身をよくをさめて、君子となる事をつとめとすべし。是人と生れたるかひあらんとなり。しかれば人となるべき道を学ぶ事、おこたるべからず。一息も猶のこれる内は、学ぶことやむべからず。死して後やむべし。
書き下し
一孔子曰く、学んで止まず、棺を闔ぢて止む。人と生れては人の道を知り、此身をよくをさめて、君子となる事をつとめとすべし。是人と生れたるかひあらんとなり。しかれば人となるべき道を学ぶ事、おこたるべからず。一息も猶のこれる内は、学ぶことやむべからず。死して後やむべし。
現代語訳
一、孔子は「学んでやまず、棺を閉じてやむ」とおっしゃいました。人と生まれたからには、人の道を知り、この身をよく修めて、君子となることを務めとすべきです。これが人と生まれたかいがあるということです。ですから人となるべき道を学ぶことを怠ってはなりません。一息でもなお残っているうちは、学ぶことをやめてはなりません。死んでからやむべきです。
解説
巻之一「為学上」の結びの段です。「学んで止まず、棺を闔じて止む」は、生きている限り学び続け、学びが終わるのは棺のふたを閉じるときだという意味です。この書を79歳で書いた益軒は、まさにそれを実践した人でした。晩年に至るまで『養生訓』など多くの著作を残しています。何歳になっても学ぶことはできるし、学ぶことが人と生まれたかいだという言葉は、定年後の学び直しや生涯学習に取り組む人の大きな励ましになります。
この章句が説くこと
生涯学習学問君子老い志
関連する章句
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『大和俗訓』巻之二・為学下一楊子曰学者所以求為君子也。言ふ意は、学問をするは何の為ぞや。君子とならんが為なり。君子とは有徳人を云ふ。君子の字義は、易の正義に、人の君となりて万民を子のごとくする徳ある人をいへり。賤くして下にありても、其徳あれば君子と称す君子となるとは人となるなり。学ばざる人は云ふにたらず。学んでも君子とならずんば、学ばざるに同じくして、人と生れたるかひなし。君子となる事容易からず。しかれども、志を立ておこたらずんば、必其功あるべし。古語にも、志あるものは其事つひに成るといへり。学は終身のことなり。一息もいまだ残れる内は、此志怠るべからず。是人の一生の間のつとめなり。
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