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大和俗訓 / 巻之一・為学上

一學問は智惠をひらく道なれば、廣く聞き、多く見て、義理に通じ、我が心に智惠のおのづから開くるを待つべし。聰明をたのみ、我が才智を先だて用ふべからず。人の才智をおさへずして、人の善言を取りもちふべし。位たかく年たけたる人、或は才學の名ある人も、其位と年と才とにほこるべからず。唯人にへりくだりて尋ね問ふは、知者のますます智をます道なり。

新字:一学問は智恵をひらく道なれば、広く聞き、多く見て、義理に通じ、我が心に智恵のおのづから開くるを待つべし。聰明をたのみ、我が才智を先だて用ふべからず。人の才智をおさへずして、人の善言を取りもちふべし。位たかく年たけたる人、或は才学の名ある人も、其位と年と才とにほこるべからず。唯人にへりくだりて尋ね問ふは、知者のますます智をます道なり。

書き下し

一学問は智恵をひらく道なれば、広く聞き、多く見て、義理に通じ、我が心に智恵のおのづから開くるを待つべし。聰明をたのみ、我が才智を先だて用ふべからず。人の才智をおさへずして、人の善言を取りもちふべし。位たかく年たけたる人、或は才学の名ある人も、其位と年と才とにほこるべからず。唯人にへりくだりて尋ね問ふは、知者のますます智をます道なり。

現代語訳

一、学問は知恵を開く道なので、広く聞き、多く見て義理に通じ、自分の心に知恵が自然に開けるのを待つべきです。聡明さを頼んで、自分の才知を先立てて用いてはなりません。人の才知を抑えずに、人のよい言葉を取り用いるべきです。位が高く年を重ねた人や、才学の名がある人も、その位や年や才を誇ってはなりません。ただ人にへりくだって尋ね問うことが、知者がますます知恵を増す道です。

解説

知恵は自分の才知を押し出すことではなく、広く見聞きし、人のよい言葉を取り入れることで開けると説く段です。地位の高い人、年長の人、才能で知られた人こそ、誇らずにへりくだって問えと益軒は言います。立場が上がるほど人に尋ねにくくなり、周りも意見を言いにくくなります。部下や若い人の言葉に耳を傾けられるリーダーが組織を伸ばすという話は今もよく聞かれます。問うことを恥じない姿勢が知恵を増す道なのです。

この章句が説くこと

知恵謙虚問う学問リーダー

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