大和俗訓 / 巻之一・為学上
知りても行はざれば用なし。故に輕重をいへば、行ふをおもしとす。知ると行ふとの二は、一つをかくべからざること、鳥の兩翼のごとく、車の兩輪のごとし。學問は知と行と竝進むをよしとす。竝進むとは、知れることは卽必行ふを云ふ。知と行と少しの前後はあれど、さきだちおくれず、一度につれだちて行くを、ならび進むといふ。知れるばかりにて行はざるは、ならび進むにあらず。
新字:知りても行はざれば用なし。故に軽重をいへば、行ふをおもしとす。知ると行ふとの二は、一つをかくべからざること、鳥の両翼のごとく、車の両輪のごとし。学問は知と行と並進むをよしとす。並進むとは、知れることは即必行ふを云ふ。知と行と少しの前後はあれど、さきだちおくれず、一度につれだちて行くを、ならび進むといふ。知れるばかりにて行はざるは、ならび進むにあらず。
書き下し
知りても行はざれば用なし。故に軽重をいへば、行ふをおもしとす。知ると行ふとの二は、一つをかくべからざること、鳥の両翼のごとく、車の両輪のごとし。学問は知と行と並進むをよしとす。並進むとは、知れることは即必行ふを云ふ。知と行と少しの前後はあれど、さきだちおくれず、一度につれだちて行くを、ならび進むといふ。知れるばかりにて行はざるは、ならび進むにあらず。
現代語訳
知っても行わなければ役に立ちません。ですから軽重を言えば、行うことを重いとします。知ることと行うことの二つは、一つも欠いてはならないこと、鳥の両翼のように、車の両輪のようです。学問は知と行が並んで進むのをよしとします。並んで進むとは、知ったことはすぐに必ず行うことをいいます。知と行には少しの前後はあっても、先立ったり遅れたりせず、一度に連れ立って行くのを、並んで進むといいます。知っているばかりで行わないのは、並んで進むのではありません。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
-
『格言聯璧』學問類・士は學有りと雖も行を本と爲す戰は陣有りと雖も、而も勇を本と爲す。 喪は禮有りと雖も、而も哀を本と爲す。 士は學有りと雖も、而も行を本と爲す。 飄風は以て宮商を調ふべからず。巧婦は以て中饋を主るべからず。文章の士は以て國家を治むべからず。 經濟は學問より出づれば、經濟方めて本源有り。
-
『大和俗訓』巻之一・為学上かくの如くなれば、人と生れたるかひなし。万物の霊とすべからず。此ゆゑに聖人是をうれひ、賢臣を以て万民の師として、人倫の道を教へさせ給ふ。是人となるものは、必道を学ばずんば有べからざればなり。愚おもへらく、人と生れて学びざれば、生れざると同じ、まなんでも道を知らざれば、学びざると同じ。道を知りても行はざれば知らざるに同じ。其故いかんとなれば、人と生れて学びざれば、人の道を知らずして、人と生れたるかひなし。是人とむまれて学びざれば、生れざると同じきなり。学ぶは道を知らんが為なり。もし学びやうあしくて道を知らずんば、学びざると同じきなり。又道を知るは、行はんがためなり。まなんで道を知りても、行はざれば知らざるに同じ。
-
『酔古堂剣掃』集豪・胸中に三斗の墨無くんば士大夫胸中に三斗の墨無くんば、何を以てか管城を運らさん。然れども恐らくは醞釀して宿陳すれば、之を出だすに光澤無からんのみ。
-
言志四録・言志耋録 第一条 学に三等有り学は一なり。而して等に三有り。初めは文を学び、次は行を学び、終りは心を学ぶ。然れども初めの文を学ばんと欲するも、既に吾が心に在れば、則ち終りの心を学ぶは、乃ち是れ学の熟するなり。三有りて三無し。
-
『酔古堂剣掃』集素・麈尾の閒談は畫餅の如し身外に身有り、麈尾を捉りて口を矢ひて閒談するは、真に畫餅の如し。 竅中に竅有り、蒲團に向かひて心を回らし究竟するは、方に是れ力田なり。
-
『幽夢影』巻上・能く記するを難しと爲す書を藏するは難からず、能く看るを難しと爲す。書を看るは難からず、能く讀むを難しと爲す。書を讀むは難からず、能く用ふるを難しと爲す。能く用ふるは難からず、能く記するを難しと爲す。
人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。
本の中身を見る