幽夢影 / 巻上・能く記するを難しと爲す
藏書不難,能看爲難;看書不難,能讀爲難;讀書不難,能用爲難;能用不難,能記爲難。
新字:蔵書不難,能看為難;看書不難,能読為難;読書不難,能用為難;能用不難,能記為難。
書き下し
書を藏するは難からず、能く看るを難しと爲す。書を看るは難からず、能く讀むを難しと爲す。書を讀むは難からず、能く用ふるを難しと爲す。能く用ふるは難からず、能く記するを難しと爲す。
現代語訳
書物を所蔵するのは難しくありません。それを見ることが難しいのです。書物を見るのは難しくありません。それを読み込むことが難しいのです。書物を読むのは難しくありません。それを使いこなすことが難しいのです。使いこなすのは難しくありません。それを覚えておくことが難しいのです。
解説
本との付き合いの段階を、蔵する、看る、読む、用いる、記するの五つに分けた一則です。本を集めるのはお金さえあればでき、目を通すのもそう難しくありませんが、じっくり読み込み、さらにそれを実際に生かし、しかも心にとどめておくのは段々に難しくなります。最後に記憶を置いたところに張潮らしさがあります。友人の洪去蕪は、張潮が能く記すを能く用いるの後に置いたのは、自分の物覚えの悪さに悩んでいるからだろう、世には覚えていても使えない者もいると冷やかしています。張竹坡は、覚えるのも難しいが、行うのはもっと難しいと付け加えています。積ん読で満足せず、一冊を生かしきる読み方を心がけたいものです。

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