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山鹿語類 / 士道・惣論禮用之威儀

婚禮は二家の好みを合せ。子孫の設けをなし、父母に代りて事を行の道爰に究まる。男女の大禮なれば、聊便用を利すべからず。喪祭は子として親々追遠の禮なり。詳に究其用法、時宜を可考。婚禮者出夫婦之別、喪祭者出子禮之篇、而賓客の禮、饗應の次第、飮酒の禮、尤可愼其威儀。出明友章軍旅は士の用にして、死生存亡のかゝる處甚重し。一擧して不可論。詳に尋審に思て、其事物の用をたゞし、戰略軍法を可心得。唯以王者之兵可爲期也。相見は臣として初めて君にまみえ、或は師友或は長者に謁する、是を相見と云。儀禮に士相見の禮を出す。出臣禮具さに其品をたゞし、其用を委くすべき也。嘉禮はすべて吉禮を行佳辰禮日の制也。以上是等の儀、皆禮の大なるわざなり。

新字:婚礼は二家の好みを合せ。子孫の設けをなし、父母に代りて事を行の道爰に究まる。男女の大礼なれば、聊便用を利すべからず。喪祭は子として親々追遠の礼なり。詳に究其用法、時宜を可考。婚礼者出夫婦之別、喪祭者出子礼之篇、而賓客の礼、饗応の次第、飲酒の礼、尤可慎其威儀。出明友章軍旅は士の用にして、死生存亡のかゝる処甚重し。一挙して不可論。詳に尋審に思て、其事物の用をたゞし、戦略軍法を可心得。唯以王者之兵可為期也。相見は臣として初めて君にまみえ、或は師友或は長者に謁する、是を相見と云。儀礼に士相見の礼を出す。出臣礼具さに其品をたゞし、其用を委くすべき也。嘉礼はすべて吉礼を行佳辰礼日の制也。以上是等の儀、皆礼の大なるわざなり。

書き下し

婚礼は二家の好みを合せ。子孫の設けをなし、父母に代りて事を行の道爰に究まる。男女の大礼なれば、聊便用を利すべからず。喪祭は子として親々追遠の礼なり。詳に究其用法、時宜を可考。婚礼者出夫婦之別、喪祭者出子礼之篇、而賓客の礼、饗応の次第、飲酒の礼、尤可慎其威儀。出明友章軍旅は士の用にして、死生存亡のかゝる処甚重し。一挙して不可論。詳に尋審に思て、其事物の用をたゞし、戦略軍法を可心得。唯以王者之兵可為期也。相見は臣として初めて君にまみえ、或は師友或は長者に謁する、是を相見と云。儀礼に士相見の礼を出す。出臣礼具さに其品をたゞし、其用を委くすべき也。嘉礼はすべて吉礼を行佳辰礼日の制也。以上是等の儀、皆礼の大なるわざなり。

現代語訳

婚礼は二つの家のよしみを合わせ、子孫を設け、父母に代わって事を行う道がここに極まる。男女の大礼であるから、少しも便宜で済ませてはならない。喪祭は子として親を親しみ遠い祖先を追慕する礼である。詳しくその用法を究め、時宜を考えるべきである。婚礼は「夫婦の別」の篇に、喪祭は「子の礼」の篇に出し、賓客の礼、饗応の次第、飲酒の礼は、とりわけその威儀を慎むべきで、「朋友」の章に出す。軍旅は士の用であって、死生存亡のかかるところで非常に重い。一挙に論じることはできない。詳しく尋ね審らかに思って、その事物の用を正し、戦略と軍法を心得るべきである。ただ王者の兵をもって目標とすべきである。相見とは、臣として初めて君にまみえ、あるいは師や友、あるいは年長者に謁することをいう。『儀礼』に士相見の礼が出ている。「臣の礼」に出し、詳しくその品を正し、その用を詳しくすべきである。嘉礼はすべて吉礼を行う、めでたい日や礼の日の制である。以上これらの儀はみな礼の大きなわざである。

解説

本章は婚礼・喪祭・賓客・軍旅・相見・嘉礼を順に概観し、それぞれ『山鹿語類』の「夫婦の別」「子の礼」「朋友」「臣の礼」の篇に詳しく説くと指示する。『山鹿語類』が分類の書であることがよく分かる箇所である。軍旅については死生存亡にかかわるので一言では論じられないとし、ただ「王者の兵」を目標とせよと述べる。兵学者でもあった素行が、軍をあくまで礼の一部として位置づけている点が注目される。力の行使を秩序の中に置くという考え方は、現代の組織の統制にも通じる。

この章句が説くこと

礼婚礼喪祭軍旅相見王者

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