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山鹿語類 / 士道・明衣服之制

次に衣服の制のこと、聖人其衣服に因て德を正し、其身を平直ならしめ、其威儀を正しからしめんことを欲して、こゝに其制を定む。更に私の便利を以て本とする處なし。天地の大公を基として其制法を定む。林氏曰、黃帝始備衣裳之制、舜觀古人之象、繪日月星辰山龍華蟲於衣、繡宗彝大粉米黼黻於裳、以象乾坤、以昭衆物、所以彰天子之盛德、能備此十二物者也、便服者、當須有是其服盛德焉、繪以三辰、所以則天之明、尤爲君德之光、自黃帝以來、歷代之制莫不然也と云へり。

新字:次に衣服の制のこと、聖人其衣服に因て徳を正し、其身を平直ならしめ、其威儀を正しからしめんことを欲して、こゝに其制を定む。更に私の便利を以て本とする処なし。天地の大公を基として其制法を定む。林氏曰、黄帝始備衣裳之制、舜観古人之象、絵日月星辰山竜華虫於衣、繍宗彝大粉米黼黻於裳、以象乾坤、以昭衆物、所以彰天子之盛徳、能備此十二物者也、便服者、当須有是其服盛徳焉、絵以三辰、所以則天之明、尤為君徳之光、自黄帝以来、歴代之制莫不然也と云へり。

書き下し

次に衣服の制のこと、聖人其衣服に因て徳を正し、其身を平直ならしめ、其威儀を正しからしめんことを欲して、こゝに其制を定む。更に私の便利を以て本とする処なし。天地の大公を基として其制法を定む。林氏曰、黄帝始備衣裳之制、舜観古人之象、絵日月星辰山竜華虫於衣、繍宗彝大粉米黼黻於裳、以象乾坤、以昭衆物、所以彰天子之盛徳、能備此十二物者也、便服者、当須有是其服盛徳焉、絵以三辰、所以則天之明、尤為君徳之光、自黄帝以来、歴代之制莫不然也と云へり。

現代語訳

次に衣服の制度のことである。聖人はその衣服によって徳を正し、その身を平らかにまっすぐにし、その威儀を正しくさせようと望んで、ここに制度を定めた。決して自分の便利を根本としたところはない。天地の大いなる公を基として、その制度と法を定めたのである。林氏は言う。「黄帝が初めて衣裳の制度を備えた。舜は古人の象(かたどり)を見て、日・月・星辰・山・龍・華虫(きじ)を上衣に描き、宗彝(祭器)・火・粉米・黼(斧の文様)・黻(亞字形の文様)を裳に刺繍して、天地(乾坤)にかたどり、万物を明らかにした。天子の盛んな徳を表すためであり、この十二の文様をすべて備えうる者だからである。ふだんの服を着る者も、その服にふさわしい盛んな徳を備えねばならない。三辰(日・月・星)を描くのは天の明るさにのっとるためであり、とりわけ君主の徳の光となる。黄帝以来、歴代の制度はみなそうでないものはない」と。

解説

衣服の制度が、作る側の便利ではなく、天地の公にもとづいて徳と威儀を正すために定められたことを説く段である。引かれるのは『書経』益稷篇に見える十二章の文様で、日月星辰から黼黻まで、天子の衣裳に天地万物をかたどる意味が込められていた。素行は衣服を、着る人に徳の自覚を促す装置として読む。肩書や制服が人に責任を思い出させる働きは今もある。制服や名札を身につけるとき、それが何を背負わせているのかを考えさせる一節である。

この章句が説くこと

衣服徳威儀十二章聖人公私

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