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山鹿語類 / 士道・節飮食之用

禮儀に飯の品、膳の品、飯ものゝ品、酒の清白、すべて飮食の品々これを詳にし是を調の制、凡食齊視春時、飯宜溫羹齊視夏時、宜熱也醬齊視秋時、宜涼也飮齊視冬時、宜寒也凡和、春多酸、夏多苦、秋多辛、冬多鹹、調以滑甘、疏曰、依經方、春不用食酸、夏不用食苦、四時各減其時味也、與此不同者、經方所云、謂時氣壯者、減其時味、以殺盛氣、此經所云、食以養人、恐氣虛羸、故多其時味、以養氣也、獸用梅、鶉羹鶏羹鴐釀之蓼と云へる、是鹽梅の制也。肉曰脫之、魚曰作之と云へる類、皆魚肉の制也。大夫燕食、有膾無脯、有脯無膾、士不貳羹胾と云は、尊卑の禮を云へり。異朝の制、我國法に可合にあらざれば、こゝには其證のために一端をあらはせり。飮食の制用を不具しては、近くは身を養ことにあやまりあり、遠くは君父に奉ずるの禮なし。尤可究理也。

新字:礼儀に飯の品、膳の品、飯ものゝ品、酒の清白、すべて飲食の品々これを詳にし是を調の制、凡食斉視春時、飯宜温羹斉視夏時、宜熱也醬斉視秋時、宜涼也飲斉視冬時、宜寒也凡和、春多酸、夏多苦、秋多辛、冬多鹹、調以滑甘、疏曰、依経方、春不用食酸、夏不用食苦、四時各減其時味也、与此不同者、経方所云、謂時気壮者、減其時味、以殺盛気、此経所云、食以養人、恐気虚羸、故多其時味、以養気也、獣用梅、鶉羹鶏羹鴐醸之蓼と云へる、是塩梅の制也。肉曰脱之、魚曰作之と云へる類、皆魚肉の制也。大夫燕食、有膾無脯、有脯無膾、士不貳羹胾と云は、尊卑の礼を云へり。異朝の制、我国法に可合にあらざれば、こゝには其証のために一端をあらはせり。飲食の制用を不具しては、近くは身を養ことにあやまりあり、遠くは君父に奉ずるの礼なし。尤可究理也。

書き下し

礼儀に飯の品、膳の品、飯ものゝ品、酒の清白、すべて飲食の品々これを詳にし是を調の制、凡食斉視春時、飯宜温羹斉視夏時、宜熱也醬斉視秋時、宜涼也飲斉視冬時、宜寒也凡和、春多酸、夏多苦、秋多辛、冬多鹹、調以滑甘、疏曰、依経方、春不用食酸、夏不用食苦、四時各減其時味也、与此不同者、経方所云、謂時気壮者、減其時味、以殺盛気、此経所云、食以養人、恐気虚羸、故多其時味、以養気也、獣用梅、鶉羹鶏羹鴐醸之蓼と云へる、是塩梅の制也。肉曰脱之、魚曰作之と云へる類、皆魚肉の制也。大夫燕食、有膾無脯、有脯無膾、士不貳羹胾と云は、尊卑の礼を云へり。異朝の制、我国法に可合にあらざれば、こゝには其証のために一端をあらはせり。飲食の制用を不具しては、近くは身を養ことにあやまりあり、遠くは君父に奉ずるの礼なし。尤可究理也。

現代語訳

礼儀では、飯の品、膳の品、飯物の品、酒の清白(澄んだ酒と濁り酒)など、すべて飲食の品々を詳しくし、これを調える定めがある。『礼記』内則篇に「およそ食(飯)の加減は春の時に倣い(飯は温かいのがよい)、羹(吸い物)の加減は夏の時に倣い(熱いのがよい)、醤の加減は秋の時に倣い(涼しいのがよい)、飲み物の加減は冬の時に倣う(冷たいのがよい)。およそ味の調和は、春は酸味を多く、夏は苦味を多く、秋は辛味を多く、冬は鹹味(塩味)を多くし、滑らかさと甘味で調える」とある。疏に「医経の処方によれば、春には酸味を用いず、夏には苦味を用いない。四季それぞれその季節の味を減らすのである。これと違うのは、医経が言うのは時の気が盛んな者についてで、その季節の味を減らして盛んな気を抑えるのであり、この経が言うのは、食で人を養うのに気が虚して弱ることを恐れるので、その季節の味を多くして気を養うのである」とある。「獣肉には梅を用い、鶉の羹・鶏の羹・鴽(うずらの類)には蓼を詰めて味をつける」と言うのは、塩梅の定めである。「肉には脱之(骨や皮を除く)と言い、魚には作之(鱗を除く)と言う」の類は、みな魚肉の定めである。「大夫の平常の食事では、膾があれば脯(干し肉)はなく、脯があれば膾はない。士は羹と胾(大切りの肉)を二品並べない」と言うのは、尊卑の礼を言ったものである。中国の定めは、わが国の法に合うものではないので、ここではその証拠として一端を示した。飲食の定めと用を備えなければ、近くは身を養うことに誤りがあり、遠くは君父に奉る礼がない。最も理を究めるべきである。

解説

本条は『礼記』内則を引いて、飲食の調え方を四季と尊卑から示す。飯は春のように温かく、羹は夏のように熱く、醤は秋のように涼しく、飲み物は冬のように冷たく。味は春に酸、夏に苦、秋に辛、冬に鹹を多くする。疏が医経との違いを、盛んな気を抑えるか虚した気を養うかの差と説くのも引く。大夫や士の食事の品数の制限は尊卑の礼である。素行は、中国の制はわが国の法にそのまま合わないから一端を示すにとどめると断りつつ、飲食の制を知らなければ身を養うことも君父に奉ることもできないと結ぶ。現代でも、季節と相手に応じて食を整えることは、養生でありもてなしでもある。

この章句が説くこと

飲食塩梅四時尊卑礼礼記

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