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山鹿語類 / 士道・愼容貌之動

次に軍旅の容あり。玉藻曰、戎容曁々、果毅貌言容詻々、教令嚴色容厲肅、義形貌視容清明也察事也。孔叢子曰、將居軍中之禮、介冑在身、執銳在列、雖君父不拜、若不幸軍敗、則馹騎赴告、不載櫜韔、櫜韜也、韔弓衣、天子素服、哭于庫門之外。少儀曰、乘兵車、出先刄、入後刄、軍尙左、左陽、陽主生卒尙右。右陰也、陰主殺、卒之行伍尙右、司馬法曰、古者國容不入軍、々容不入國、軍容入國、則民德廢、國容入軍、則民德弱、故在國、言文語温、在朝恭以遜、修己以待人、不召不至、不問不言、難進易退、在軍杭而出、在行遂而果、介者不拜、兵車不式、城上不趨、危事不齒、禮與法表裏也、文與武左右也と云へるは、軍旅の容を論ずる也。

新字:次に軍旅の容あり。玉藻曰、戎容曁々、果毅貌言容詻々、教令厳色容厲粛、義形貌視容清明也察事也。孔叢子曰、将居軍中之礼、介冑在身、執鋭在列、雖君父不拝、若不幸軍敗、則馹騎赴告、不載櫜韔、櫜韜也、韔弓衣、天子素服、哭于庫門之外。少儀曰、乗兵車、出先刄、入後刄、軍尚左、左陽、陽主生卒尚右。右陰也、陰主殺、卒之行伍尚右、司馬法曰、古者国容不入軍、々容不入国、軍容入国、則民徳廃、国容入軍、則民徳弱、故在国、言文語温、在朝恭以遜、修己以待人、不召不至、不問不言、難進易退、在軍杭而出、在行遂而果、介者不拝、兵車不式、城上不趨、危事不歯、礼与法表裏也、文与武左右也と云へるは、軍旅の容を論ずる也。

書き下し

次に軍旅の容あり。玉藻曰、戎容曁々、果毅貌言容詻々、教令厳色容厲粛、義形貌視容清明也察事也。孔叢子曰、将居軍中之礼、介冑在身、執鋭在列、雖君父不拝、若不幸軍敗、則馹騎赴告、不載櫜韔、櫜韜也、韔弓衣、天子素服、哭于庫門之外。少儀曰、乗兵車、出先刄、入後刄、軍尚左、左陽、陽主生卒尚右。右陰也、陰主殺、卒之行伍尚右、司馬法曰、古者国容不入軍、々容不入国、軍容入国、則民徳廃、国容入軍、則民徳弱、故在国、言文語温、在朝恭以遜、修己以待人、不召不至、不問不言、難進易退、在軍杭而出、在行遂而果、介者不拝、兵車不式、城上不趨、危事不歯、礼与法表裏也、文与武左右也と云へるは、軍旅の容を論ずる也。

現代語訳

次に軍旅(いくさ)の容がある。『礼記』玉藻篇に「戎の容は曁々(果断で毅いさま)、言の容は詻々(教令が厳しいさま)、色の容は厲粛(義が形に表れるさま)、視の容は清明(事をよく察するさま)」とある。『孔叢子』に「将が軍中にいるときの礼は、甲冑を身につけ、鋭い武器を執って列にいるときは、君や父であっても拝礼しない。不幸にして軍が敗れたときは、早馬で知らせ、櫜韔(櫜は弓矢の袋、韔は弓の覆い)を載せず、天子は白い喪服を着て、庫門の外で哭する」とある。少儀篇に「兵車に乗るときは、出るときは刃を先にし、入るときは刃を後にする。軍は左を尊び(左は陽で、陽は生をつかさどる)、卒は右を尊ぶ(右は陰で、陰は殺をつかさどる。卒の隊列は右を尊ぶ)」とある。『司馬法』に「古には、国の容は軍に入れず、軍の容は国に入れなかった。軍の容が国に入れば民の徳が廃れ、国の容が軍に入れば民の徳が弱まる。だから国にあっては言葉は文雅で語り口は温かく、朝廷にあっては恭しくへりくだり、己を修めて人を待ち、召されなければ行かず、問われなければ言わず、進むことは難しく退くことはたやすくする。軍にあっては毅然として出て、行軍にあってはやり遂げて果断である。甲冑の者は拝礼せず、兵車の上では式(車上の礼)をせず、城の上では小走りせず、危急の事では年齢の順にこだわらない。礼と法は表裏であり、文と武は左右である」とあるのは、軍旅の容を論じたものである。

解説

本条は軍旅の容を、『礼記』玉藻・少儀、『孔叢子』『司馬法』から集める。戦場では果断で厳しい容が求められ、甲冑の者は君父にも拝さない。一方『司馬法』は国の容と軍の容を混ぜるなと説き、平時は温和で謙虚に、戦時は毅然と果断にと切り分ける。兵学者でもあった素行が、礼と兵法を「表裏」「左右」として一つに捉えていたことがよくわかる。泰平の世の武士にこそ、平時の礼と非常時の決断を使い分ける自覚が要るという主張である。現代の組織でも、平時の調整型の振る舞いと危機対応の指揮の振る舞いを、場をわきまえて切り替える力が問われる。

この章句が説くこと

軍旅威儀礼文武兵法司馬法

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