山鹿語類 / 士道・愼言語
孔子在宗廟朝廷、便々言、唯謹爾、便々辨也朝與下大夫言、侃々如也、剛直也與上大夫言、闇々如也、和悅而諍也是聖人朝廷にをいて、自ら言を愼、朋友の上下の輩と言の禮、殆んど可見也。少儀曰、在朝言禮問禮、對以禮、在官言官、在府言府、在庫言庫、在朝言朝、朝君臣謀政事之處朝言不及犬馬、非公議也公庭不言婦女、非其時也朝廷曰退、近君曰進。散還曰退。是等皆古來の禮言也。而して朝廷には、其さして云べき言にも、其品あるべし。出るを出仕と云、退くを退出と云が如し。是又時代其家によつて言にかはること多きを、古を以て今を議すべからず。弘安に書禮を定め、其格式を立るといへども、公方家代々に因てしば〳〵變易す。唯時宜を詳にして、其格物を專とするにあるべき也。朝廷に於いて言をつゝしみ、言に品あるべし、言にいゝやうあるべしと、深く心得るときは、本を推して末をはかり、其事に詳ならん人を尋ねて、而も究理するに在也。
新字:孔子在宗廟朝廷、便々言、唯謹爾、便々弁也朝与下大夫言、侃々如也、剛直也与上大夫言、闇々如也、和悦而諍也是聖人朝廷にをいて、自ら言を慎、朋友の上下の輩と言の礼、殆んど可見也。少儀曰、在朝言礼問礼、対以礼、在官言官、在府言府、在庫言庫、在朝言朝、朝君臣謀政事之処朝言不及犬馬、非公議也公庭不言婦女、非其時也朝廷曰退、近君曰進。散還曰退。是等皆古来の礼言也。而して朝廷には、其さして云べき言にも、其品あるべし。出るを出仕と云、退くを退出と云が如し。是又時代其家によつて言にかはること多きを、古を以て今を議すべからず。弘安に書礼を定め、其格式を立るといへども、公方家代々に因てしば〳〵変易す。唯時宜を詳にして、其格物を専とするにあるべき也。朝廷に於いて言をつゝしみ、言に品あるべし、言にいゝやうあるべしと、深く心得るときは、本を推して末をはかり、其事に詳ならん人を尋ねて、而も究理するに在也。
書き下し
孔子在宗廟朝廷、便々言、唯謹爾、便々弁也朝与下大夫言、侃々如也、剛直也与上大夫言、闇々如也、和悦而諍也是聖人朝廷にをいて、自ら言を慎、朋友の上下の輩と言の礼、殆んど可見也。少儀曰、在朝言礼問礼、対以礼、在官言官、在府言府、在庫言庫、在朝言朝、朝君臣謀政事之処朝言不及犬馬、非公議也公庭不言婦女、非其時也朝廷曰退、近君曰進。散還曰退。是等皆古来の礼言也。而して朝廷には、其さして云べき言にも、其品あるべし。出るを出仕と云、退くを退出と云が如し。是又時代其家によつて言にかはること多きを、古を以て今を議すべからず。弘安に書礼を定め、其格式を立るといへども、公方家代々に因てしば〳〵変易す。唯時宜を詳にして、其格物を専とするにあるべき也。朝廷に於いて言をつゝしみ、言に品あるべし、言にいゝやうあるべしと、深く心得るときは、本を推して末をはかり、其事に詳ならん人を尋ねて、而も究理するに在也。
現代語訳
孔子は宗廟や朝廷にあっては、はきはきと言い(便々は弁じる意)、ただ謹んでいた。朝廷で下大夫と話すときは侃々如(剛直の意)であり、上大夫と話すときは誾々如(和らぎ喜びつつ諍う意)であった。これは聖人が朝廷で自ら言葉を慎み、上下の同輩と話す言葉の礼が、ほぼ見て取れるものである。少儀に「朝廷では礼を言い、礼を問い、礼によって答える。官にあっては官のことを言い、府にあっては府のことを言い、庫にあっては庫のことを言い、朝にあっては朝のことを言う(朝は君臣が政事を謀る所)。朝廷の言葉は犬や馬に及ばない(公の議ではないから)。公の庭では婦女のことを言わない(その時ではないから)。朝廷からは退くといい、主君に近づくのを進むという。散じ帰るのを退くという」とある。これらはみな古来の礼にかなった言葉である。そして朝廷では、それとして言うべき言葉にもその種類があるはずだ。出るのを出仕といい、退くのを退出というようなものである。これもまた時代やその家によって言葉の変わることが多いので、古によって今を論じてはならない。弘安年間に書礼を定めてその格式を立てたが、公方家(将軍家)は代々によってしばしば変わった。ただ時宜を詳しくして、その事物の理を究めることを専らとすべきである。朝廷で言葉を慎み、言葉には種類があるはずだ、言葉には言い方があるはずだと深く心得るときは、本を推して末を計り、その事に詳しい人を尋ねて、しかも理を究めることにある。
解説
この章句が説くこと
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論語・八佾篇子、太廟に入り、事毎に問う。或曰く、『誰か鄒人の子を礼を知ると謂うや、太廟に入りて事毎に問う。』子これを聞きて曰く、『是れ礼なり。』
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論語・八佾篇子曰く、『夏の礼、吾能く之を言う。杞は徵すに足らず。殷の礼、吾能く之を言う。宋は徵すに足らず。文献足らざる故なり。足らば、則ち吾能く之を徵せん。』
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論語・学而篇有子曰く、「礼の用は和を貴しと為す。先王の道も斯を美と為す。小大之に由れども、行われざる所有り。和を知りて和すれども、礼を以て之を節せざれば、亦行う可からざるなり。」
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論語・八佾篇林放礼の本を問う。子曰く、「大なるかな問いや。礼は其の奢らんよりは、寧ろ倹せよ。喪は其の易めんよりは、寧ろ戚めよ。」
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