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山鹿語類 / 士道・愼言語

次に言語の品、其所、其時、其交接の人物に從て、甚其禮多し。朝廷之言あり。平居之言あり。喪祭之言あり。冠昏の言あり。賓客之言あり。軍旅の言あり。君臣父子兄弟朋友夫婦の言あり。平生の言あり。變に處するの言あり。此品々を詳に不究明ときは、言皆違を以て禮こゝにみだる。威儀大にそむくべし。されば朝廷の言は、君の朝に出仕して其位に居るの時の言なるを以て、敬て其言不出位、私の物語なく、私の用を不相通、下氣和聲、詳に老者の言を聞て、可云の節あらば、明に辨じて諛ふことなからしむ。

新字:次に言語の品、其所、其時、其交接の人物に従て、甚其礼多し。朝廷之言あり。平居之言あり。喪祭之言あり。冠昏の言あり。賓客之言あり。軍旅の言あり。君臣父子兄弟朋友夫婦の言あり。平生の言あり。変に処するの言あり。此品々を詳に不究明ときは、言皆違を以て礼こゝにみだる。威儀大にそむくべし。されば朝廷の言は、君の朝に出仕して其位に居るの時の言なるを以て、敬て其言不出位、私の物語なく、私の用を不相通、下気和声、詳に老者の言を聞て、可云の節あらば、明に弁じて諛ふことなからしむ。

書き下し

次に言語の品、其所、其時、其交接の人物に従て、甚其礼多し。朝廷之言あり。平居之言あり。喪祭之言あり。冠昏の言あり。賓客之言あり。軍旅の言あり。君臣父子兄弟朋友夫婦の言あり。平生の言あり。変に処するの言あり。此品々を詳に不究明ときは、言皆違を以て礼こゝにみだる。威儀大にそむくべし。されば朝廷の言は、君の朝に出仕して其位に居るの時の言なるを以て、敬て其言不出位、私の物語なく、私の用を不相通、下気和声、詳に老者の言を聞て、可云の節あらば、明に弁じて諛ふことなからしむ。

現代語訳

次に、言語の種類は、その場所、その時、交わる人物によって、たいへん多くの礼がある。朝廷の言葉がある。平居の言葉がある。喪祭の言葉がある。冠婚の言葉がある。賓客の言葉がある。軍旅の言葉がある。君臣・父子・兄弟・朋友・夫婦の言葉がある。平生の言葉がある。変事に処する言葉がある。これらの品々を詳しく究め明らかにしないときは、言葉がみな違うので、礼がここで乱れる。威儀に大きくそむくことになる。そこで朝廷の言葉は、主君の朝に出仕してその位にいる時の言葉であるから、つつしんでその言葉は自分の位を出ず、私の話をせず、私の用事を通さず、気を下げ声をやわらげ、詳しく年長者の言葉を聞いて、言うべき時があれば明らかに弁じて、へつらうことがないようにする。

解説

言葉の礼を場と時と相手によって分類する章句で、以下の各論の総目となる。朝廷・平居・喪祭・冠昏・賓客・軍旅・五倫・平生・処変と、言葉の場を九つ以上に分け、それぞれを究め明らかにしなければ礼が乱れると説く。朝廷の言は位を出ず、私事を語らず、言うべき時には明らかに弁じてへつらわないことだとする。泰平の世に城勤めをする武士にとって、公の場での言葉遣いは日々の職分そのものであった。現代でも、会議と雑談、社外と社内で言葉を使い分けることは働く者の基本である。

この章句が説くこと

言語礼朝廷公私場慎言

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