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和俗童子訓 / 巻之五・教女子法

愼んで讒を信ずべからず。甚恐るべし。又賤しき者を使ふには、我が思ふにかなはぬ事のみ多し。夫を怒りのりて止まざれば、せはしく腹立つ事多く、家の内靜ならず。惡しき事は、時々言ひ敎へて、誤を正すべし、怒りのるべからず。少しの過は、こらへて怒るべからず。心の内にはあはれみ深くして、外には行儀堅く、いましめて怠らざるやうに使ふべし。いるがせなれば、必行儀亂れ怠りがちにて、禮義を背き、とがを犯すに至る。與へ惠むべき事あらば、財を惜むべからず。但我が氣に入りたるとて、忠なきものに、みだりに財物を與ふべからず。

新字:慎んで讒を信ずべからず。甚恐るべし。又賤しき者を使ふには、我が思ふにかなはぬ事のみ多し。夫を怒りのりて止まざれば、せはしく腹立つ事多く、家の内静ならず。悪しき事は、時々言ひ教へて、誤を正すべし、怒りのるべからず。少しの過は、こらへて怒るべからず。心の内にはあはれみ深くして、外には行儀堅く、いましめて怠らざるやうに使ふべし。いるがせなれば、必行儀乱れ怠りがちにて、礼義を背き、とがを犯すに至る。与へ恵むべき事あらば、財を惜むべからず。但我が気に入りたるとて、忠なきものに、みだりに財物を与ふべからず。

書き下し

慎んで讒を信ずべからず。甚恐るべし。又賤しき者を使ふには、我が思ふにかなはぬ事のみ多し。夫を怒りのりて止まざれば、せはしく腹立つ事多く、家の内静ならず。悪しき事は、時々言ひ教へて、誤を正すべし、怒りのるべからず。少しの過は、こらへて怒るべからず。心の内にはあはれみ深くして、外には行儀堅く、いましめて怠らざるやうに使ふべし。いるがせなれば、必行儀乱れ怠りがちにて、礼義を背き、とがを犯すに至る。与へ恵むべき事あらば、財を惜むべからず。但我が気に入りたるとて、忠なきものに、みだりに財物を与ふべからず。

現代語訳

慎んで讒言を信じてはなりません。はなはだ恐るべきことです。また身分の低い者を使うには、自分の思うようにならないことばかり多いものです。それを怒り罵ってやまなければ、せわしく腹が立つことが多く、家の内が静かになりません。悪いことは、その時々に言い教えて誤りを正しなさい。怒り罵ってはなりません。少しの過ちはこらえて怒ってはなりません。心の内には憐れみを深くして、外には行儀を固くし、戒めて怠らないように使いなさい。いい加減にすれば、必ず行儀が乱れて怠けがちになり、礼儀に背き、とがを犯すに至ります。与え恵むべきことがあれば、財を惜しんではなりません。ただし、自分の気に入ったからといって、忠義のない者にむやみに財物を与えてはなりません。

解説

十三か条の最後、使用人の使い方を説いた条です。思いどおりにならないからと怒鳴り続ければ家が落ち着かない、悪いことはその都度教えて正せ、少しの過ちはこらえよ、心の内は憐れみ深く外は規律を固く、と益軒は言います。報いるべき時は惜しまず、しかし気に入りだからと忠のない者にむやみに与えるな、という公正さも求めています。叱らずに教える、規律と思いやりを両立させる、評価は公正に、という指導の原則は、今の職場で部下を持つ人にもそのまま通じる教えです。

この章句が説くこと

使用人忍耐公正指導女子教育

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