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和俗童子訓 / 巻之五・教女子法

下部を閨門の内に入るべからず。凡男女の隔、輕々しからず、身を堅く愼むべし。十一曰、身のかざりも、衣服の染色模樣も、目に立たざるをよしとす。身と衣服との、穢れずしてきよげなるはよし。衣服と身のかざりに、すぐれてきよらを好み、人の目に立つ程なるはあしゝ。衣服の模樣は、其年よりはくすみておいらかなるが、尋常にしてらうたく見ゆ。すぐれてはなやかに、大なる模樣は、目にたちて賤し。我が家の分限に過ぎて、衣服にきよらを好み、身をかざるべからず。唯我が身にかなひ似合ひたる衣服を著るべし。心は身の主なり、尊ぶべし。衣服は身の外にあるものなり、輕し。衣服をかざりて人にほこるは、衣服より尊ぶべき其心を失へるなり。凡人は其心ざま、身の振舞をこそ、潔くせまほしけれ。

新字:下部を閨門の内に入るべからず。凡男女の隔、軽々しからず、身を堅く慎むべし。十一曰、身のかざりも、衣服の染色模様も、目に立たざるをよしとす。身と衣服との、穢れずしてきよげなるはよし。衣服と身のかざりに、すぐれてきよらを好み、人の目に立つ程なるはあしゝ。衣服の模様は、其年よりはくすみておいらかなるが、尋常にしてらうたく見ゆ。すぐれてはなやかに、大なる模様は、目にたちて賤し。我が家の分限に過ぎて、衣服にきよらを好み、身をかざるべからず。唯我が身にかなひ似合ひたる衣服を著るべし。心は身の主なり、尊ぶべし。衣服は身の外にあるものなり、軽し。衣服をかざりて人にほこるは、衣服より尊ぶべき其心を失へるなり。凡人は其心ざま、身の振舞をこそ、潔くせまほしけれ。

書き下し

下部を閨門の内に入るべからず。凡男女の隔、軽々しからず、身を堅く慎むべし。十一曰、身のかざりも、衣服の染色模様も、目に立たざるをよしとす。身と衣服との、穢れずしてきよげなるはよし。衣服と身のかざりに、すぐれてきよらを好み、人の目に立つ程なるはあしし。衣服の模様は、其年よりはくすみておいらかなるが、尋常にしてらうたく見ゆ。すぐれてはなやかに、大なる模様は、目にたちて賤し。我が家の分限に過ぎて、衣服にきよらを好み、身をかざるべからず。唯我が身にかなひ似合ひたる衣服を著るべし。心は身の主なり、尊ぶべし。衣服は身の外にあるものなり、軽し。衣服をかざりて人にほこるは、衣服より尊ぶべき其心を失へるなり。凡人は其心ざま、身の振舞をこそ、潔くせまほしけれ。

現代語訳

召使いの男を奥の部屋に入れてはなりません。およそ男女の隔ては軽々しくないものです。身を固く慎みなさい。十一に言う。身の飾りも、衣服の染め色や模様も、目立たないのをよしとします。身と衣服が汚れずに清らかなのはよいのです。衣服と身の飾りに、とりわけ華美を好んで、人の目に立つほどなのは悪いのです。衣服の模様は、その年齢よりは地味で穏やかなものが、普通で愛らしく見えます。とりわけ華やかで大きな模様は、目立って卑しく見えます。自分の家の分限を超えて、衣服に華美を好み、身を飾ってはなりません。ただ自分の身にかない似合った衣服を着なさい。心は身の主人ですから、尊ぶべきです。衣服は身の外にあるものですから、軽いのです。衣服を飾って人にほこるのは、衣服よりも尊ぶべきその心を失っているのです。およそ人は、その心のあり方と身の振る舞いこそ、清らかにしたいものです。

解説

十三か条の十一、身の飾りと衣服についての教えです。目立たず清潔なのがよく、年齢より少し地味で穏やかな模様が愛らしく見え、華やかで大きな模様は卑しく見える、と具体的です。心は身の主、衣服は身の外のもの、衣服を飾ってほこるのは尊ぶべき心を失うことだ、という論理は、巻之二で述べた子どもの衣服の教えとも一貫しています。流行や見栄にとらわれず、分限に合った清潔な身なりをせよという考えは、性別を問わず、今の服装や消費のあり方を考えるうえでも示唆があります。

この章句が説くこと

衣服倹約心身だしなみ女子教育

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