和俗童子訓 / 巻之五・教女子法
一いにしへ、女子の嫁する時、其母中門まで送りて、戒めて曰く、汝が家に行きて、必愼み、必戒めて、夫の心に背くこと勿れと言へり。是古の女子の嫁する時、親の敎ふる禮法なり。女子の父母、能く此理を言聞せ戒むべし。女子も、また此理を心得て、守り行ふべし。
新字:一いにしへ、女子の嫁する時、其母中門まで送りて、戒めて曰く、汝が家に行きて、必慎み、必戒めて、夫の心に背くこと勿れと言へり。是古の女子の嫁する時、親の教ふる礼法なり。女子の父母、能く此理を言聞せ戒むべし。女子も、また此理を心得て、守り行ふべし。
書き下し
一いにしへ、女子の嫁する時、其母中門まで送りて、戒めて曰く、汝が家に行きて、必慎み、必戒めて、夫の心に背くこと勿れと言へり。是古の女子の嫁する時、親の教ふる礼法なり。女子の父母、能く此理を言聞せ戒むべし。女子も、また此理を心得て、守り行ふべし。
現代語訳
昔、女子が嫁ぐ時、その母は中門まで送って、戒めて言いました。「あなたの家に行ったら、必ず慎み、必ず戒めて、夫の心に背いてはなりません」と。これは、昔、女子が嫁ぐ時に親が教えた礼法です。女子の父母は、よくこの道理を言い聞かせ戒めなさい。女子もまた、この道理を心得て、守り行いなさい。
解説
嫁ぐ娘に母が門まで送って戒めたという古礼を紹介した短い条です。孟子滕文公下に、女子が嫁ぐ時に母が門まで送り「往きて汝の家に之き、必ず敬し必ず戒め、夫子に違ふこと無かれ」と戒めるとあるのを踏まえています。新しい家に入る娘に、親が最後に心構えを伝える場面は、時代を超えて親心を感じさせます。夫に背くなという内容そのものは当時の規範ですが、人生の節目に親が子へ言葉を贈ることの意味を考えさせる条です。
この章句が説くこと
婚礼母孟子礼女子教育
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