導師導古典を学びたいすべての人に

和俗童子訓 / 巻之五・教女子法

常に心遣ひをして、身を守る事堅きに過ぎたらん程はよかるべし。人に向ひ、やはらかにざればみて、かろらかなるは、必節義を失ひあやまちの出來るもとゐなり。和順を女德とすると、たはれの心の、やはらかにして守りなく、かろびたると、其すぢかはれること、云ふにおよばず。古人は、兄弟といへども、幼より男女席を同じくせず、夫の衣桁に妻の衣服を懸けず、衣服も同じ器にをさめず、衣裳をも通用せず、ゆあみする所もことなり。是夫婦すら、別を正しくするなり。況や夫婦ならざる男女は、云ふに及ばず。男女の分、内外の別を正しくするは、古の道なり。

新字:常に心遣ひをして、身を守る事堅きに過ぎたらん程はよかるべし。人に向ひ、やはらかにざればみて、かろらかなるは、必節義を失ひあやまちの出来るもとゐなり。和順を女徳とすると、たはれの心の、やはらかにして守りなく、かろびたると、其すぢかはれること、云ふにおよばず。古人は、兄弟といへども、幼より男女席を同じくせず、夫の衣桁に妻の衣服を懸けず、衣服も同じ器にをさめず、衣裳をも通用せず、ゆあみする所もことなり。是夫婦すら、別を正しくするなり。況や夫婦ならざる男女は、云ふに及ばず。男女の分、内外の別を正しくするは、古の道なり。

書き下し

常に心遣ひをして、身を守る事堅きに過ぎたらん程はよかるべし。人に向ひ、やはらかにざればみて、かろらかなるは、必節義を失ひあやまちの出来るもとゐなり。和順を女徳とすると、たはれの心の、やはらかにして守りなく、かろびたると、其すぢかはれること、云ふにおよばず。古人は、兄弟といへども、幼より男女席を同じくせず、夫の衣桁に妻の衣服を懸けず、衣服も同じ器にをさめず、衣裳をも通用せず、ゆあみする所もことなり。是夫婦すら、別を正しくするなり。況や夫婦ならざる男女は、云ふに及ばず。男女の分、内外の別を正しくするは、古の道なり。

現代語訳

いつも気を配って、身を守ることが固すぎるくらいがよいのです。人に向かって柔らかにしゃれかかり、軽々しいのは、必ず節義を失い過ちが起こる元です。和順を女徳とすることと、みだらな心が柔らかで守りがなく軽々しいこととは、その筋が違うことは言うまでもありません。昔の人は、兄弟であっても、幼い時から男女が席を同じくせず、夫の衣桁に妻の衣服を掛けず、衣服も同じ箱に収めず、衣装も共用せず、湯あみする所も別でした。これは夫婦でさえ区別を正しくしたのです。まして夫婦でない男女は言うまでもありません。男女の分、内と外の区別を正しくするのは、古の道です。

解説

和順という女徳と、軽々しくなれなれしい態度とを区別した条です。穏やかで柔らかいことと、けじめがなく軽いことは違う、という指摘は大切です。後半は、男女は七歳から席を同じくせず、夫婦でも衣桁や衣装箱を分けたという礼記内則などの古礼を紹介し、男女の別を正しくせよと言います。当時の厳格な男女隔離の規範は今とは大きく異なりますが、親しさとけじめを両立させること、柔らかさと節度を混同しないことは、人間関係全般に通じる心得として読めます。

この章句が説くこと

和順節度男女の別礼記女子教育

関連する章句

古典の入門書『人生の教科書』の表紙

人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。

古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。

本の中身を見る
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)+師導1か月=700円 本を見る