和俗童子訓 / 巻之四・手習法
一文字をかき、書を寫すには、筆畫をよく辨へ知りて、誤なかるべし。世俗の字を書くは、字畫に甚誤多し。心を用ひて筆畫を知るべし。字畫を知るには說文を宗とし、玉篇の首卷、字彙の末卷、及び續字彙の内、字體辨微、黃元立が字考を以て誤を辨ずべし。字學にも亦心を用ふべし。
新字:一文字をかき、書を写すには、筆画をよく弁へ知りて、誤なかるべし。世俗の字を書くは、字画に甚誤多し。心を用ひて筆画を知るべし。字画を知るには説文を宗とし、玉篇の首巻、字彙の末巻、及び続字彙の内、字体弁微、黄元立が字考を以て誤を弁ずべし。字学にも亦心を用ふべし。
書き下し
一文字をかき、書を写すには、筆画をよく弁へ知りて、誤なかるべし。世俗の字を書くは、字画に甚誤多し。心を用ひて筆画を知るべし。字画を知るには説文を宗とし、玉篇の首巻、字彙の末巻、及び続字彙の内、字体弁微、黄元立が字考を以て誤を弁ずべし。字学にも亦心を用ふべし。
現代語訳
文字を書き、書物を写すには、字画をよくわきまえ知って、誤りのないようにしなさい。世間の人が字を書くのは、字画にはなはだ誤りが多いのです。心を用いて字画を知りなさい。字画を知るには、説文を第一とし、玉篇の首巻、字彙の末巻、および続字彙の中の字体弁微、黄元立の字考によって誤りを見分けなさい。文字の学にもまた心を用いなさい。
解説
正しい字画を字書で確かめよと説く短い条です。後漢の許慎の説文解字を第一とし、玉篇、字彙、続字彙、黄元立の字考など、当時利用できた字書を具体的に挙げています。世間の人の字には誤りが多い、だから字の学問にも心を用いよ、という指摘は、書の美しさより正確さを重んじる益軒の姿勢と一貫しています。あいまいな記憶に頼らず、信頼できる辞書や資料で確かめる習慣は、文章を書く人にとって今も欠かせない基本です。
この章句が説くこと
字書説文正確文字学問
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