和俗童子訓 / 巻之四・手習法
一小兒初て手習するには、先一二三四五六七八九十百千萬億、次に天地、父母、五倫、五常、四端、七情、四民、陰陽、五行、四時、四方、五穀、五味、五色などの名目の手本を、眞字に書きて、大に書習はしむべし。一あいうえお五十字は、和音に通ずるに益あり。橫縱に讀覺ゆべし。かな遣てにはなど是を以て知るべし。いろはの益なきにまされり。國字も皆是に備れり。片假名はおそく敎へ知らしむべし。
新字:一小児初て手習するには、先一二三四五六七八九十百千万億、次に天地、父母、五倫、五常、四端、七情、四民、陰陽、五行、四時、四方、五穀、五味、五色などの名目の手本を、真字に書きて、大に書習はしむべし。一あいうえお五十字は、和音に通ずるに益あり。横縦に読覚ゆべし。かな遣てにはなど是を以て知るべし。いろはの益なきにまされり。国字も皆是に備れり。片仮名はおそく教へ知らしむべし。
書き下し
一小児初て手習するには、先一二三四五六七八九十百千万億、次に天地、父母、五倫、五常、四端、七情、四民、陰陽、五行、四時、四方、五穀、五味、五色などの名目の手本を、真字に書きて、大に書習はしむべし。一あいうえお五十字は、和音に通ずるに益あり。横縦に読覚ゆべし。かな遣てにはなど是を以て知るべし。いろはの益なきにまされり。国字も皆是に備れり。片仮名はおそく教へ知らしむべし。
現代語訳
子どもが初めて手習いをするには、まず一・二・三・四・五・六・七・八・九・十・百・千・万・億、次に天地・父母・五倫・五常・四端・七情・四民・陰陽・五行・四時・四方・五穀・五味・五色などの名目の手本を、楷書で書いて、大きく書き習わせなさい。「あいうえお」の五十字は、日本語の音に通じるのに益があります。横にも縦にも読み覚えなさい。仮名遣いやてにをはなども、これによって知りなさい。いろはの益のないのにまさっています。国字(仮名)も皆これに備わっています。片仮名は後から教え知らせなさい。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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『和俗童子訓』巻之三・随年教法一六歳の正月、始て一二三四五六七八九十百千万億の数の名と、東西南北の方の名とを教へ、其生れつきの利鈍をはかりて、六七歳より、和字を読ませ、書きならはしむべし。はじめて和字を教ふるに、あいうえお五十韻を平がなに書きて、たてよこに読ませ書きならはしむ。又世間往来のかなの文の手本をならはしむべし。此年ころより、尊長を敬ふ事を教へ、尊卑長幼のわかちをも知らしめ、ことばづかひをも教ふべし。一七歳、是より男女席を同じくしてならび坐せず、食を共にせず。此ころ、小児の少し智出来、言ふことをきき知るほどならば、其智をはかり、年に宜しきほど、やうやく礼法を教ふべし。又和字のよみかきをも習はしむべし。
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『和俗童子訓』巻之四・手習法一国字を書くに、仮名遣とてにはを知るべし。かなづかひとは、音を書くに開合あり。開合とは、字を唱ふるに、口のひらくと合ふとなり。和音五十字の内、あかさたな、はまやらわは、ひらく音なり。江肴豪陽唐庚清青の韻の字は、皆開くなり。おこそとの、ほもよろをは、合ふ音なり。東冬蕭霄蒸登尤侯幽の韻の字は、皆合へるなり。又和訓の詞の字のかなづかひは、いゐ、おを、えゑの三音は、各二字づつ同音なれど、字により所によりて、いの字を用ひゐの字を用ふるかはりあり。おをとえゑも亦同じ。又はひふへほと書きて、わゐうゑをとよむは、和訓の詞の字、中にあり下にある時の書きやう読みやうなり。是も和音五十字にて通ずる理あり。是皆かなづかひの習ひ也。
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『益軒家訓』幼児須教一学問をするに、明師良友を選び事ふべし。師友悪しければ、学びても後悪しく、一生道を知らず。よく是を選ぶべし。諸芸も亦然り。一六歳の正月、始て数の名と、我が邦の仮名を習はしむべし。伊呂波は益少し。あいうえおの五十字を教ふべし。和語に通ずるに利あり。七歳の時始て孝経を読ましめ、孝弟忠信礼儀廉恥の義を教へ、又五常五倫三綱六紀四端七情六芸四民等の名目、多く教へ知らしむべし。一時に多く教ふべからず。少し教へてよく覚えさすべし。都て小児に書を読ましむるは、皆此法也。
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『和俗童子訓』巻之三・随年教法一今年の春より、真と草との文字を書きならはしむべし。はじめより風体正しき能書を学ばしむべし。手跡つたなく、風体悪しきを手本として習へば、悪しき事くせとなり、後に風体よき能書をならへども移らず。初は真草ともに、大字を書き習はしむべし、初より小字を書けば、手すくみて働かず。又此年より、早く文字を読み習はしむべし。孝経小学四書などの類の、文句長きむつかしきものは、初より読み難く、覚え難く、退屈し、学問を嫌ふ心出できて悪しし。まづ文句の短くして読易く、覚えやすきものを読ませ、そらに覚えさすべし。
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『和俗童子訓』巻之三・読書法まづ孝弟忠信礼義廉恥の字義を教へ、五常、五倫、五教、三綱、三徳、三事、四端、七情、四勿、五事、六芸、両儀、二気、三辰、四時、四方、四徳、四民、五行、十干、十二支、五味、五色、五音、二十四気、十二月の異名和名、四書、五経、三史の名目、本朝の六国史の名目、日本六十六州の名、其住せる国の郡の名、本朝の古の帝王の御諡、百官の名唐の三皇五帝三王の御名、歴代の国号等を、和漢名数の書にかき集め置けるを、そらに読み覚えさすべし。又鳥獣虫魚貝の類、草木の名を多く書き集めて読み覚えしむべし。此外に、覚えてよき事多し。そらに覚えざる事は用に立たず。又周南召南の詩、蒙求の本文五百九十八句、性理字訓の本編、三字経、千字類合、千家詩などの、句短く覚え易きものを教ふべし。
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『和俗童子訓』巻之四・手習法一小児の時より、大字を多く書習へば、手くつろぎはたらきてよし。小字を書きて、大字を書かざれば手すくみてはたらかず。字を習ふに、紙を惜まず、大に書くべし。大に書習へば、手はたらきて自由になり、又年長じて後、大字を書くに善し。もし小字のみを書習へば、手腕すくみて、長じて後、大字を書く事なり難し。手習ふには、悪しき筆にて書くべし。後に筆をえらばずして善し。もしよき筆にて書習へば、後悪しき筆にて書く時、筆跡悪しし。時々よき紙に書くべし。悪しき紙にのみ書習へば、よき紙に書く時、手すくみてはたらかず。真字を書く法、大なる字はつづめて小ならしめ、小字はのべて大ならしめ、短字は長く長字は短くすべし。横の筆画は細きがよし。竪の筆画はあらきがよし。横に二字合せて一とする字は、ひろくすべからず。上下二字合せて一とする字は、長くすべからず。疎は密に、密は疎なるべし。骨多きに宜し、肉多きに宜しからず。皆是筆法の習ひなり。
人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。
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