和俗童子訓 / 巻之三・読書法
年たけ齒ふけぬれば、事多くしてひまなく、氣力へりて氣臆弱くなり、學問に苦勞しても、しるし少なし。少年の時、此ことわりを能く心得て、ひまを惜み勤むべし。若き時怠りて、年老いて後悔すべからず。此事、前にも旣に言ひつれども、老のくせにて、同じことするは、聞く人いとふべけれど、年若き人に、能く心得させんために、返す返す告ぐるなり。凡の事、後のためによき事を專らに勤むべし。初勤めざれば、必後の樂なし。又後の悔なからん事を計るべし。初に愼まず怠りぬれば、必後の悔あり。
新字:年たけ歯ふけぬれば、事多くしてひまなく、気力へりて気臆弱くなり、学問に苦労しても、しるし少なし。少年の時、此ことわりを能く心得て、ひまを惜み勤むべし。若き時怠りて、年老いて後悔すべからず。此事、前にも既に言ひつれども、老のくせにて、同じことするは、聞く人いとふべけれど、年若き人に、能く心得させんために、返す返す告ぐるなり。凡の事、後のためによき事を専らに勤むべし。初勤めざれば、必後の楽なし。又後の悔なからん事を計るべし。初に慎まず怠りぬれば、必後の悔あり。
書き下し
年たけ歯ふけぬれば、事多くしてひまなく、気力へりて気臆弱くなり、学問に苦労しても、しるし少なし。少年の時、此ことわりを能く心得て、ひまを惜み勤むべし。若き時怠りて、年老いて後悔すべからず。此事、前にも既に言ひつれども、老のくせにて、同じことするは、聞く人いとふべけれど、年若き人に、能く心得させんために、返す返す告ぐるなり。凡の事、後のためによき事を専らに勤むべし。初勤めざれば、必後の楽なし。又後の悔なからん事を計るべし。初に慎まず怠りぬれば、必後の悔あり。
現代語訳
年を取り歯も衰えると、することが多くて暇がなく、気力が減って記憶力も弱くなり、学問に苦労してもその効き目は少ないのです。少年の時に、この道理をよく心得て、暇を惜しんで勤めなさい。若い時に怠けて、年老いてから後悔してはなりません。このことは前にもすでに言いましたが、老人の癖で同じことを言うのは、聞く人は嫌がるでしょうけれども、年若い人によく心得させるために、繰り返し告げるのです。およそすべてのことは、後のためによいことをもっぱら勤めなさい。初めに勤めなければ、必ず後の楽しみはありません。また後に悔いがないようにと計りなさい。初めに慎まず怠ければ、必ず後の悔いがあります。
解説
この章句が説くこと
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