和俗童子訓 / 巻之三・読書法
一小兒の時より、學問のひまを惜み、あだなる遊をすべからず。手習ひ、書をよみ、藝を學ぶを以て、遊とすべし。かやうの勤初は面白からざれども、やうやく習ひなれぬれば、後は慰となりて、いたつがはしからず。凡よろづの事は、皆暇を用ひて出來るものなれば、いとま程の身の寶なし。四民共に同じ。かほどの惜むべき大切なるいとまを空しくして、時日を費し、又は用にも立たざる益なきわざをなし、無賴の小人に交り、ひまを惜まずして、徒に爲す事もなくて月日を送る人は、終に才智もなく藝能もなくして、何事も人に及ばず、人にいやしめらる。少年の時は、氣力も氣臆も强ければ、ひまを惜み、書を讀み置くべし、如此すれば、身を終るまで忘れず、一代の寶となる。
新字:一小児の時より、学問のひまを惜み、あだなる遊をすべからず。手習ひ、書をよみ、芸を学ぶを以て、遊とすべし。かやうの勤初は面白からざれども、やうやく習ひなれぬれば、後は慰となりて、いたつがはしからず。凡よろづの事は、皆暇を用ひて出来るものなれば、いとま程の身の宝なし。四民共に同じ。かほどの惜むべき大切なるいとまを空しくして、時日を費し、又は用にも立たざる益なきわざをなし、無頼の小人に交り、ひまを惜まずして、徒に為す事もなくて月日を送る人は、終に才智もなく芸能もなくして、何事も人に及ばず、人にいやしめらる。少年の時は、気力も気臆も強ければ、ひまを惜み、書を読み置くべし、如此すれば、身を終るまで忘れず、一代の宝となる。
書き下し
一小児の時より、学問のひまを惜み、あだなる遊をすべからず。手習ひ、書をよみ、芸を学ぶを以て、遊とすべし。かやうの勤初は面白からざれども、やうやく習ひなれぬれば、後は慰となりて、いたつがはしからず。凡よろづの事は、皆暇を用ひて出来るものなれば、いとま程の身の宝なし。四民共に同じ。かほどの惜むべき大切なるいとまを空しくして、時日を費し、又は用にも立たざる益なきわざをなし、無頼の小人に交り、ひまを惜まずして、徒に為す事もなくて月日を送る人は、終に才智もなく芸能もなくして、何事も人に及ばず、人にいやしめらる。少年の時は、気力も気臆も強ければ、ひまを惜み、書を読み置くべし、如此すれば、身を終るまで忘れず、一代の宝となる。
現代語訳
子どもの時から、学問の合間を惜しんで、むだな遊びをしてはなりません。手習いをし、書物を読み、技芸を学ぶことを遊びとしなさい。このような勤めは初めは面白くなくても、だんだん習い慣れると、後には慰みとなって、煩わしくなくなります。およそすべてのことは、皆暇を用いてできるものですから、暇ほど身の宝になるものはありません。四民とも同じです。これほど惜しむべき大切な暇をむだにして時を費やし、また役にも立たない益のないことをし、無頼の小人と交わり、暇を惜しまずに、むなしく何もせず月日を送る人は、ついに才知もなく芸能もなくて、何事も人に及ばず、人に卑しめられます。少年の時は、気力も記憶力も強いので、暇を惜しんで書物を読んでおきなさい。そうすれば一生忘れず、一代の宝となります。
解説
この章句が説くこと
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