和俗童子訓 / 巻之三・読書法
一書を讀み學問する法、年若く記臆强き時、四書五經を常に熟讀し、遍數を如何程も多く重ねて、記誦すべし。小兒の時に限らず、老年に至りても、常に循環して讀むべし。是義理の學問の根本となるのみならず、又文章を學ぶ法則となる。次に左傳を數十遍看讀すべし。其益多し。是學問の要訣なり、知らずんばあるべからず。
新字:一書を読み学問する法、年若く記臆強き時、四書五経を常に熟読し、遍数を如何程も多く重ねて、記誦すべし。小児の時に限らず、老年に至りても、常に循環して読むべし。是義理の学問の根本となるのみならず、又文章を学ぶ法則となる。次に左伝を数十遍看読すべし。其益多し。是学問の要訣なり、知らずんばあるべからず。
書き下し
一書を読み学問する法、年若く記臆強き時、四書五経を常に熟読し、遍数を如何程も多く重ねて、記誦すべし。小児の時に限らず、老年に至りても、常に循環して読むべし。是義理の学問の根本となるのみならず、又文章を学ぶ法則となる。次に左伝を数十遍看読すべし。其益多し。是学問の要訣なり、知らずんばあるべからず。
現代語訳
書物を読み学問する法は、年が若く記憶力の強い時に、四書五経をいつも熟読し、回数をどれほどでも多く重ねて暗唱しなさい。子どもの時に限らず、老年に至っても、いつも繰り返し巡って読みなさい。これは義理の学問の根本となるばかりでなく、また文章を学ぶ手本ともなります。次に左伝を数十回読みなさい。その益は多いのです。これが学問の要訣です。知らないではいられません。
解説
四書五経を若い時に暗唱し、老年まで繰り返し読み続けよと説く短い条です。経書は義理の学問の根本であるだけでなく、文章の手本にもなると言い、次に左伝、つまり春秋左氏伝を数十回読めと勧めます。左伝は歴史の叙述と文章の名手として重んじられた書です。益軒自身、老年まで経書を読み返していたことがうかがえます。基本となる古典を一生の友として繰り返し読むという姿勢は、自分の分野の基本書を何度も読み直すことで理解が深まるという、今の学びにも通じる知恵です。
この章句が説くこと
四書五経左伝熟読学問
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