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和俗童子訓 / 巻之三・随年教法

一小兒に、早く心もかほばせも溫和にして、人を愛し敬ひ、善を行ふ事を敎ふべし。又心も身の起居振舞も靜かにして、みだりに動かず、騒しからざらん事を敎ふべし。一十五歲、古人大學に入りて學問せし歲なり。是より專ら義理を學び、身を修め人を治むる道を知るべし。是大學の道なり。殊更高家の子、年長じては諸人の上に立ちて、多くの民を預り、人を治むる職分重し。必小兒の時より、師を定め書を讀ませ、古の道を敎へ、身を修め人を治むる道を知らしむ。もし人を治むる道を知らざれば、天道より預け給へる多くの人をそこなふ事、恐るべし。凡の人も、其分限に應じて、人を治むるわざあり。其道を學ばずんばあるべからず。性質遲鈍なりとも、是より廿歲までの間に、小學四書等の大義に通ずべし。もし聰明ならば、博く學び多く知るべし。

新字:一小児に、早く心もかほばせも温和にして、人を愛し敬ひ、善を行ふ事を教ふべし。又心も身の起居振舞も静かにして、みだりに動かず、騒しからざらん事を教ふべし。一十五歳、古人大学に入りて学問せし歳なり。是より専ら義理を学び、身を修め人を治むる道を知るべし。是大学の道なり。殊更高家の子、年長じては諸人の上に立ちて、多くの民を預り、人を治むる職分重し。必小児の時より、師を定め書を読ませ、古の道を教へ、身を修め人を治むる道を知らしむ。もし人を治むる道を知らざれば、天道より預け給へる多くの人をそこなふ事、恐るべし。凡の人も、其分限に応じて、人を治むるわざあり。其道を学ばずんばあるべからず。性質遅鈍なりとも、是より廿歳までの間に、小学四書等の大義に通ずべし。もし聰明ならば、博く学び多く知るべし。

書き下し

一小児に、早く心もかほばせも温和にして、人を愛し敬ひ、善を行ふ事を教ふべし。又心も身の起居振舞も静かにして、みだりに動かず、騒しからざらん事を教ふべし。一十五歳、古人大学に入りて学問せし歳なり。是より専ら義理を学び、身を修め人を治むる道を知るべし。是大学の道なり。殊更高家の子、年長じては諸人の上に立ちて、多くの民を預り、人を治むる職分重し。必小児の時より、師を定め書を読ませ、古の道を教へ、身を修め人を治むる道を知らしむ。もし人を治むる道を知らざれば、天道より預け給へる多くの人をそこなふ事、恐るべし。凡の人も、其分限に応じて、人を治むるわざあり。其道を学ばずんばあるべからず。性質遅鈍なりとも、是より廿歳までの間に、小学四書等の大義に通ずべし。もし聰明ならば、博く学び多く知るべし。

現代語訳

子どもには早くから、心も顔つきも温和にして、人を愛し敬い、善を行うことを教えなさい。また心も身の立ち居振る舞いも静かにして、むやみに動かず、騒がしくならないことを教えなさい。十五歳は、昔の人が大学に入って学問した年です。これからはもっぱら義理を学び、身を修め人を治める道を知りなさい。これが大学の道です。特に高い家の子は、年長じては多くの人の上に立ち、多くの民を預かって、人を治める職分が重いのです。必ず子どもの時から師を定めて書物を読ませ、古えの道を教えて、身を修め人を治める道を知らせます。もし人を治める道を知らなければ、天から預けられた多くの人を損なうことになり、恐るべきことです。一般の人も、その分限に応じて人を治める仕事があります。その道を学ばなければなりません。性質が遅く鈍くても、これから二十歳までの間に、小学・四書などの大義に通じなさい。もし聡明なら、広く学び多く知りなさい。

解説

十五歳を大学に入る年とし、身を修め人を治める道を学ぶ時期と位置づけた条です。朱子の大学章句序に、十五歳で大学に入り窮理・正心・修己・治人の道を学ぶとあるのを踏まえています。益軒は、人を治める職分は大名の子だけでなく、一般の人にも分限に応じてあると言います。家の主人や親方もまた人を預かる立場だからです。民は天から預かったものという考えも儒学らしいところです。人の上に立つ前に修身を学ぶという順序は、管理職の育成を考えるときにも参考になります。

この章句が説くこと

大学修身治国学問年齢

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