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和俗童子訓 / 巻之三・随年教法

一十歳、此年より師に隨はしめ、まづ五常の理五倫の道、あらあら言ひ聞かせ、聖賢の書を讀み、學問せしむべし。讀む所の書の内、まづ義理の聞え易くさとし易き、切要なる所を說き聞かすべし。是より後、やうやく小學四書五經を讀むべし。又其ひまに、文武の藝術をも習はしむべし。世俗は、十一歳の比、やうやう初て手習など敎ふ。遲しと云ふべし。敎は早からざれば、心すさみ氣あれて、敎を嫌ひ、怠にならひて、勤め學ぶ事難し。

新字:一十歳、此年より師に随はしめ、まづ五常の理五倫の道、あらあら言ひ聞かせ、聖賢の書を読み、学問せしむべし。読む所の書の内、まづ義理の聞え易くさとし易き、切要なる所を説き聞かすべし。是より後、やうやく小学四書五経を読むべし。又其ひまに、文武の芸術をも習はしむべし。世俗は、十一歳の比、やうやう初て手習など教ふ。遅しと云ふべし。教は早からざれば、心すさみ気あれて、教を嫌ひ、怠にならひて、勤め学ぶ事難し。

書き下し

一十歳、此年より師に随はしめ、まづ五常の理五倫の道、あらあら言ひ聞かせ、聖賢の書を読み、学問せしむべし。読む所の書の内、まづ義理の聞え易くさとし易き、切要なる所を説き聞かすべし。是より後、やうやく小学四書五経を読むべし。又其ひまに、文武の芸術をも習はしむべし。世俗は、十一歳の比、やうやう初て手習など教ふ。遅しと云ふべし。教は早からざれば、心すさみ気あれて、教を嫌ひ、怠にならひて、勤め学ぶ事難し。

現代語訳

十歳、この年から師に従わせ、まず五常の理、五倫の道をあらまし言い聞かせ、聖賢の書を読んで学問させなさい。読む書物の中でも、まず意味がわかりやすく諭しやすい、切実で大切な所を説いて聞かせなさい。これより後、だんだんと小学・四書・五経を読みなさい。またその合間に、文武の技芸も習わせなさい。世間では十一歳の頃になって、ようやく初めて手習いなどを教えます。遅いと言うべきです。教えは早くなければ、心がすさみ気が荒れて、教えを嫌い、怠けることに慣れて、勤め学ぶことが難しくなります。

解説

十歳で師につけて本格的な学問を始めよと説く条です。まず五常五倫をあらまし言い聞かせ、書物もわかりやすく大切な所から説き、その後に小学・四書・五経へ進むという順序が示されます。頭注によれば、礼記内則にも十歳で外の師について書計を学ぶとあります。世間では十一歳頃にようやく手習いを始めるが遅い、という指摘には、寺子屋に通い始める年齢が遅いことへの益軒の不満がうかがえます。学びの開始が遅れると怠け癖が先につくという考えは、本書全体の主張と一貫しています。

この章句が説くこと

師学問五常五倫年齢

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