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和俗童子訓 / 巻之二・総論下

一小兒の時は、智いまだひらけず、心に是非を辨へがたき故に、小人の言ふ詞にまよひ易し。世俗の口のきゝたる者、學問をきらひて、善人の行儀堅く正しきをそしり、風雅なるを惡みて、今樣の風にあはずとて謗り、唯放逸なる事を誘ひ勸むるを聞かば、いかに幼く智なくとも、心をつけて其是非を分つべし。斯の如くなる小人のことばに迷ひて、移るべからず。

新字:一小児の時は、智いまだひらけず、心に是非を弁へがたき故に、小人の言ふ詞にまよひ易し。世俗の口のきゝたる者、学問をきらひて、善人の行儀堅く正しきをそしり、風雅なるを悪みて、今様の風にあはずとて謗り、唯放逸なる事を誘ひ勧むるを聞かば、いかに幼く智なくとも、心をつけて其是非を分つべし。斯の如くなる小人のことばに迷ひて、移るべからず。

書き下し

一小児の時は、智いまだひらけず、心に是非を弁へがたき故に、小人の言ふ詞にまよひ易し。世俗の口のききたる者、学問をきらひて、善人の行儀堅く正しきをそしり、風雅なるを悪みて、今様の風にあはずとて謗り、唯放逸なる事を誘ひ勧むるを聞かば、いかに幼く智なくとも、心をつけて其是非を分つべし。斯の如くなる小人のことばに迷ひて、移るべからず。

現代語訳

子どもの時は知恵がまだ開けず、心で是非をわきまえにくいので、小人の言う言葉に迷いやすいのです。世間の口達者な者が、学問を嫌い、善人の行儀が堅く正しいのを謗り、風雅なことを憎んで「今風に合わない」と謗り、ただ放逸なことを誘い勧めるのを聞いたら、どれほど幼く知恵がなくても、気をつけてその是非を見分けなさい。このような小人の言葉に迷って、移ってはなりません。

解説

口のうまい小人の誘いに惑わされるなと、子ども自身に呼びかけた条です。学問を嫌い、真面目な人を堅苦しいと謗り、風雅を「今風でない」と笑い、遊びへ誘う、という描写は、いつの時代の若者の周りにもいる人物像でしょう。益軒は、幼くても自分で是非を見分ける心がけを持てと言い、判断力を育てることを求めています。真面目さを笑う空気や、今どきではないという同調圧力に流されないことは、子どもにとっても大人にとっても難しく、それだけに大切な教えです。

この章句が説くこと

小人判断誘惑学問友

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