和俗童子訓 / 巻之二・総論下
一年若き人書を讀まんとすれば、無學なる人是をいひ妨げて、書を讀めば、心ぬるく病者になりて、氣よわく命短くなると、言つておどせば、父母おろかなれば、誠ぞと心得て、書を讀ましめず、其子は一生愚にて終る。不幸といふべし。
新字:一年若き人書を読まんとすれば、無学なる人是をいひ妨げて、書を読めば、心ぬるく病者になりて、気よわく命短くなると、言つておどせば、父母おろかなれば、誠ぞと心得て、書を読ましめず、其子は一生愚にて終る。不幸といふべし。
書き下し
一年若き人書を読まんとすれば、無学なる人是をいひ妨げて、書を読めば、心ぬるく病者になりて、気よわく命短くなると、言つておどせば、父母おろかなれば、誠ぞと心得て、書を読ましめず、其子は一生愚にて終る。不幸といふべし。
現代語訳
年若い人が書物を読もうとすると、学問のない人がこれを言い妨げて、「書物を読むと心がにぶって病人になり、気が弱って命が短くなる」と言って脅すと、父母が愚かであれば、本当だと思い込んで書物を読ませず、その子は一生愚かなままで終わります。不幸と言うべきです。
解説
読書をすると病気になり命が縮むという当時の俗説を取り上げ、それを信じて子に本を読ませない親を戒めた短い条です。前の条でも述べられたように、益軒はこの俗説を道理を知らない迷いと見ています。本草学や医学にも通じ、八十歳を過ぎてなお著作を続けた益軒自身が、読書と長寿が両立することの生きた証拠でした。根拠のない噂や思い込みで子どもの学びの機会を奪ってしまう危うさは、情報のあふれる現代にも通じる教訓です。
この章句が説くこと
読書学問俗説子育て長寿
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