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和俗童子訓 / 巻之二・総論下

文を學ぶが内にも本末あり。經傳を讀んで學問するは本なり。諸藝を學ぶは末なり。藝はさまざま多し。其内にて、人の日に用ふるわざをえらびて學ぶべし。無用の藝は、學ばずとも有りなん。藝も亦道理あることにて、學問の助となる。これを知らでは、日用の事缺けぬ。藝を學ばざれば、たとへば木の本あれども枝葉なきが如し。故に聖人の書を學んで、其ひまには文武の藝を學ぶべし。此章唯二十五字にて、人の子となり、弟となるもの敎行ふべき道、是に盡せり。聖人の語、詞少なくして義備れりと云ふべし。

新字:文を学ぶが内にも本末あり。経伝を読んで学問するは本なり。諸芸を学ぶは末なり。芸はさまざま多し。其内にて、人の日に用ふるわざをえらびて学ぶべし。無用の芸は、学ばずとも有りなん。芸も亦道理あることにて、学問の助となる。これを知らでは、日用の事欠けぬ。芸を学ばざれば、たとへば木の本あれども枝葉なきが如し。故に聖人の書を学んで、其ひまには文武の芸を学ぶべし。此章唯二十五字にて、人の子となり、弟となるもの教行ふべき道、是に尽せり。聖人の語、詞少なくして義備れりと云ふべし。

書き下し

文を学ぶが内にも本末あり。経伝を読んで学問するは本なり。諸芸を学ぶは末なり。芸はさまざま多し。其内にて、人の日に用ふるわざをえらびて学ぶべし。無用の芸は、学ばずとも有りなん。芸も亦道理あることにて、学問の助となる。これを知らでは、日用の事欠けぬ。芸を学ばざれば、たとへば木の本あれども枝葉なきが如し。故に聖人の書を学んで、其ひまには文武の芸を学ぶべし。此章唯二十五字にて、人の子となり、弟となるもの教行ふべき道、是に尽せり。聖人の語、詞少なくして義備れりと云ふべし。

現代語訳

文を学ぶ中にも本と末があります。経書や伝を読んで学問するのが本です。諸芸を学ぶのは末です。芸はさまざまに多くあります。その中で、人が日々に用いる技を選んで学びなさい。無用の芸は学ばなくてもよいでしょう。芸にもまた道理があり、学問の助けとなります。これを知らなければ日々の用が欠けます。芸を学ばなければ、たとえば木の幹はあっても枝葉がないようなものです。ですから聖人の書を学んで、その暇には文武の芸を学びなさい。この章はわずか二十五字で、人の子となり弟となる者が教え行うべき道が、ここに尽くされています。聖人の言葉は、言葉は少なくて意味が備わっていると言うべきです。

解説

論語学而篇の章の解説を締めくくる部分です。学問を本、芸を末としつつ、芸がなければ幹だけで枝葉のない木のようだと述べ、日用に役立つ芸は学ぶべきだとします。本末の区別はしても、実用の技を軽んじないのが益軒の特色です。最後に、この章がわずか二十五字で子弟の道を言い尽くしていると感嘆しています。頭注によれば二十五字は「弟子入則孝出則弟謹而信汎愛衆而親仁行有余力則以学文」です。短い言葉で本質を伝える力を、古典の読み方として教えている条でもあります。

この章句が説くこと

学問芸本末論語六芸

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