和俗童子訓 / 巻之一・総論上
是人の子をそこなふわざなる事を知らず。今の世にも、其父禮を好みて、其子の幼き時より、しつけを敎へ、和禮をならはする人の子は、必其子の作法よく、立居ふるまひ、人の交不束ならず、老に至るまで威儀よし。是其父早く敎へし力なり。善を早く敎へ行はしむるも、其しるしまた斯の如くなるべし。
新字:是人の子をそこなふわざなる事を知らず。今の世にも、其父礼を好みて、其子の幼き時より、しつけを教へ、和礼をならはする人の子は、必其子の作法よく、立居ふるまひ、人の交不束ならず、老に至るまで威儀よし。是其父早く教へし力なり。善を早く教へ行はしむるも、其しるしまた斯の如くなるべし。
書き下し
是人の子をそこなふわざなる事を知らず。今の世にも、其父礼を好みて、其子の幼き時より、しつけを教へ、和礼をならはする人の子は、必其子の作法よく、立居ふるまひ、人の交不束ならず、老に至るまで威儀よし。是其父早く教へし力なり。善を早く教へ行はしむるも、其しるしまた斯の如くなるべし。
現代語訳
これが人の子を損なうことだとは知らないのです。今の世でも、父が礼を好んで、その子の幼い時からしつけを教え、日本の礼法を習わせている人の子は、必ず作法がよく、立ち居振る舞いや人との交わりが不作法でなく、老年に至るまで威儀が正しいのです。これはその父が早く教えた力です。善を早く教えて行わせることも、そのしるしはまたこのようであるはずです。
解説
前の条を受け、早いしつけの効果を身近な実例で示した短い条です。父が礼を好み、幼い頃から和礼を習わせた家の子は、老年に至るまで立ち居振る舞いが美しい、という観察は誰にも思い当たるものでしょう。益軒は、礼儀作法が一生残るように、善い行いも早く教えれば同じように身につくと推論します。形から入ることで心が整うという儒学の礼の考え方がよく出ています。家庭での食事の作法やあいさつ、職場の基本動作の指導が、長い目で見て人柄の土台になることを思わせる内容です。
この章句が説くこと
しつけ礼作法威儀教育
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