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和俗童子訓 / 巻之一・総論上

一凡小兒を育つるには、專ら義方の敎をなすべし。姑息の愛をなすべからず。義方の敎とは、義理の正しき事を以て、小兒のあしき事をいましむるを云ふ。是後の福となる。姑息とは、婦人の小兒を育つるは、愛に過ぎて、小兒の心に隨ひ、氣にあふを云ふ。これ必後の禍となる。幼き時より、早く氣隨をおさへて、私欲をゆるすべからず。愛を過せば、驕出來其子のため禍となる。

新字:一凡小児を育つるには、専ら義方の教をなすべし。姑息の愛をなすべからず。義方の教とは、義理の正しき事を以て、小児のあしき事をいましむるを云ふ。是後の福となる。姑息とは、婦人の小児を育つるは、愛に過ぎて、小児の心に随ひ、気にあふを云ふ。これ必後の禍となる。幼き時より、早く気随をおさへて、私欲をゆるすべからず。愛を過せば、驕出来其子のため禍となる。

書き下し

一凡小児を育つるには、専ら義方の教をなすべし。姑息の愛をなすべからず。義方の教とは、義理の正しき事を以て、小児のあしき事をいましむるを云ふ。是後の福となる。姑息とは、婦人の小児を育つるは、愛に過ぎて、小児の心に随ひ、気にあふを云ふ。これ必後の禍となる。幼き時より、早く気随をおさへて、私欲をゆるすべからず。愛を過せば、驕出来其子のため禍となる。

現代語訳

およそ子どもを育てるには、もっぱら「義方の教え」をしなさい。「姑息の愛」をしてはなりません。義方の教えとは、正しい道理によって子どもの悪いところを戒めることを言います。これが後の幸いとなります。姑息とは、女性が子どもを育てる時に、愛情が過ぎて子どもの心のままに従い、機嫌に合わせることを言います。これは必ず後の禍となります。幼い時から早く気ままを抑えて、わがままな欲を許してはなりません。愛情をかけ過ぎれば驕りが生じ、その子のために禍となります。

解説

和俗童子訓で繰り返し出てくる「義方の教え」と「姑息の愛」を定義した条です。義方は春秋左氏伝の「子を愛しては之に教ふるに義方を以てす」に由来し、正しい道理で戒めることを言います。姑息は礼記檀弓の「細人の人を愛するや姑息を以てす」から来た語で、目先の安らぎのために相手に合わせることです。益軒は姑息を女性の育て方に結びつけていて、当時の男女観がうかがえますが、要点は、愛することと甘やかすことを区別せよということです。叱らない育児や部下への迎合を考え直すときに役立つ区別です。

この章句が説くこと

義方姑息愛しつけ子育て

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