墨子 / 節用中
子墨子言曰:古者明王聖人所以王天下、正諸侯者,彼其愛民謹忠,利民謹厚,忠信相連,又示之以利,是以終身不饜,殁二十而不卷。古者明王聖人其所以王天下、正諸侯者,此也。
新字:子墨子言曰:古者明王聖人所以王天下、正諸侯者,彼其愛民謹忠,利民謹厚,忠信相連,又示之以利,是以終身不饜,殁二十而不巻。古者明王聖人其所以王天下、正諸侯者,此也。
書き下し
子墨子言いて曰く、古者、明王聖人の天下に王たり諸侯を正しくせし所以の者は、彼れ其れ民を愛すること謹みて忠、民を利すること謹みて厚く、忠信、相い連なり、又た之に示すに利を以てす。是を以て身を終うるまで饜かず、殁して二十にして卷まず。古者、明王聖人の其の天下に王たり諸侯を正しくせし所以の者は、此れなり。
現代語訳
墨子が言った。むかし明王や聖人が天下に王となり諸侯を正した理由は、彼らが民を愛することが慎み深く誠実であり、民を利することが慎み深く手厚く、忠と信が互いにつながり、さらに利をもって示したからである。だから生涯飽きられることがなく、亡くなって二十年たっても慕われ続けた。むかし明王や聖人が天下に王となり諸侯を正した理由は、これである。
解説
節用中篇の書き出しです。「愛民謹忠、利民謹厚」——愛することと利すること、それぞれに「謹」の字が付きます。慎重に、丁寧に。気持ちの大きさではなく、扱いの丁寧さで測られている。そして「又示之以利」、さらに利をもって示す。心づもりだけでは足りず、相手が受け取れる形にして初めて伝わるという一貫した立場です。
この章句が説くこと
愛利丁寧さ示す伝わる形
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『墨子』法儀昔の聖王、禹・湯・文・武は、兼ねて天下の百姓を愛し、率いて以て天を尊び鬼に事う。其の人を利すること多し、故に天、之を福し、立てて天子と為さしめ、天下の諸侯、皆な賓として之に事う。暴王、桀・紂・幽・厲は、兼ねて天下の百姓を惡み、率いて以て天を詬り鬼を侮る。其の人を賊うこと多し、故に天、之を禍し、遂に其の國家を失わしめ、身死して天下に僇と為り、後世の子孫、之を毁り、今に至るまで息まず。故に不善を為して以て禍を得る者は、桀・紂・幽・厲是れなり。人を愛し人を利して以て福を得る者は、禹・湯・文・武是れなり。人を愛し人を利して以て福を得る者は有り、人を惡み人を賊うて以て禍を得る者も亦た有り。
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