倭忠経 / 跋・跋 先哲の教えに愚意を加えた書の結び
右忠經十八章。先哲の云しを。今又間に。愚意をくわへ書つゞれば。言葉いやしきのみならず。先賢の心にたがひ。且敎に背と多からん。しかはあれど。あしきを捨。よきを擧用ひば。忠の道におゐて。中流の一壺とも成侍らんか。凡。書をよめる人をのみ。道しれる。人としもいはんや。君につかへて忠を盡し。父母につかへて孝あらん人。是則道しれる人なるべし。然れば上藹下藹にはよるべからず。卷を開て。一句をうかゞはん人は。本心具足の。忠を起し給へ。是れ私の言にあらず。漢字を假名に。わるのみ。皆寛文第六 丙午歲臘月 甲子洛下隱士南部立庵草壽謹書
新字:右忠経十八章。先哲の云しを。今又間に。愚意をくわへ書つゞれば。言葉いやしきのみならず。先賢の心にたがひ。且教に背と多からん。しかはあれど。あしきを捨。よきを挙用ひば。忠の道におゐて。中流の一壺とも成侍らんか。凡。書をよめる人をのみ。道しれる。人としもいはんや。君につかへて忠を尽し。父母につかへて孝あらん人。是則道しれる人なるべし。然れば上藹下藹にはよるべからず。巻を開て。一句をうかゞはん人は。本心具足の。忠を起し給へ。是れ私の言にあらず。漢字を仮名に。わるのみ。皆寛文第六 丙午歳臘月 甲子洛下隠士南部立庵草寿謹書
書き下し
右忠經十八章。先哲の云しを。今又間に。愚意をくわへ書つゞれば。言葉いやしきのみならず。先賢の心にたがひ。且敎に背と多からん。しかはあれど。あしきを捨。よきを擧用ひば。忠の道におゐて。中流の一壺とも成侍らんか。凡。書をよめる人をのみ。道しれる。人としもいはんや。君につかへて忠を盡し。父母につかへて孝あらん人。是則道しれる人なるべし。然れば上藹下藹にはよるべからず。卷を開て。一句をうかゞはん人は。本心具足の。忠を起し給へ。是れ私の言にあらず。漢字を假名に。わるのみ。皆寛文第六 丙午歲臘月 甲子洛下隱士南部立庵草壽謹書
現代語訳
この忠経十八章は、先哲の言われたことに、今またところどころ私の考えを加えて書き連ねたものです。言葉が卑しいだけでなく、先賢の心に背き、教えにも背く点が多いでしょう。そうではあっても、悪いところは捨て、良いところを取り上げて用いるなら、忠の道においては、流れの中の一つの壺(困ったとき浮き袋として役立つもの)ともなるでしょうか。およそ、書を読んだ人だけを道を知る人というべきでしょうか。君に仕えて忠を尽くし、父母に仕えて孝を行う人こそ、すなわち道を知る人でしょう。ですから、上藹下藹には頼ってはなりません。巻を開いて一句でも窺う人は、本心具足の忠を起こしてください。これは私の言葉ではありません。漢字を仮名に直したにすぎません。寛文六年丙午の歳、臘月甲子、洛下の隠士、南部立庵が草し、謹んで書きました。
解説
この章句が説くこと
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