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うひ山ぶみ / 注[ノ]又後世風をもすてずして

後世の哥は、みな實情にあらず、題をまうけて、己が心に思はぬ事を、さまざまとつくりて、意をも詞をも、むつかしくくるしく巧みなす、これみな僞。

新字:後世の歌は、みな実情にあらず、題をまうけて、己が心に思はぬ事を、さまざまとつくりて、意をも詞をも、むつかしくくるしく巧みなす、これみな偽。

書き下し

後世の歌は、みな実情にあらず、題をまうけて、己が心に思はぬ事を、さまざまとつくりて、意をも詞をも、むつかしくくるしく巧みなす、これみな偽。

現代語訳

後世の歌はみな実情ではない。題を設けて、自分の心に思ってもいない事をさまざまに作り、意味も言葉も難しく苦しげに技巧をこらしている。これはみな偽り

解説

この短い単位は、古風家が後世の歌を否定する理由を、宣長が相手に代わって要約した部分である。後世の歌は実感から出たものではなく、題を設けて思ってもいない事を作り、意味も言葉も技巧で難しくしている、だから偽りだ、という主張である。題詠は平安時代以来の歌会の中心であり、宣長の時代の歌壇でも題を出して詠むのが基本だった。万葉を理想とする人々には、それが歌の本来の姿から外れた作りごとに見えた。宣長はこの批判をいったん相手の言い分どおりに書き出し、次の単位から一つずつ反論していく。反対者の主張を正確に述べてから論じるのが宣長の論法である。あなたは批判したい相手の言い分を、相手が納得する形で言い表せるだろうか。

この章句が説くこと

題詠実情後世風偽り歌論

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