玉勝間 / 十の巻 改銭
同書云、改錢、大臣奉勅、仰博士令勘錢文、奏定畢、擇吉日、召能書者於陣頭、令書字樣、奏聞賜作物所彫定、副官符下鑄錢司、鑄錢司進新錢、奏解文之後、先奉神社佛寺、云云。
新字:同書云、改銭、大臣奉勅、仰博士令勘銭文、奏定畢、択吉日、召能書者於陣頭、令書字様、奏聞賜作物所彫定、副官符下鋳銭司、鋳銭司進新銭、奏解文之後、先奉神社仏寺、云云。
書き下し
同じ書に云う、銭を改むるには、大臣勅を奉りて、博士に仰せて銭文を勘えしめ、奏して定め畢りて、吉日を択び、能書の者を陣頭に召し、字様を書かしめ、奏聞して作物所に賜いて彫り定めしめ、官符を副えて鋳銭司に下す、鋳銭司新銭を進る、解文を奏するの後、先ず神社仏寺に奉る、云々。
現代語訳
同じ書(西宮記)にいう。「銭を改鋳するには、大臣が勅命を受けて博士に命じ、銭の文字を考えさせ、奏上して定め終えると、吉日を選び、字の上手な者を陣の座に召して文字の手本を書かせ、奏上して作物所に下して彫り型を作らせ、官符を添えて鋳銭司に下す。鋳銭司は新しい銭を献上する。その報告の文書を奏上した後、まず神社・仏寺に奉納する」云々。
解説
前段の改元に続いて、新しい銭を鋳造する手続きを西宮記から抜き書きした段である。大臣が勅を受けて博士に銭に刻む文字を考えさせ、決まると吉日を選んで能書の者に字の手本を書かせ、作物所で型を彫り、官符を添えて鋳銭司に鋳造させる。できあがった新銭は、報告を奏上した後、まず神社と寺に奉納されたという。奈良・平安時代には和同開珎から乾元大宝まで皇朝十二銭が次々に発行されたが、その裏にはこうした段取りがあった。銭の文字を博士が考え、能書家が書くところに、貨幣が単なる道具ではなく、国の権威と文化を表すものと考えられていたことがうかがえる。今の紙幣の図柄や書体が慎重に選ばれることとも通じる。
関連する章句
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『玉勝間』十の巻 改年号西宮記に云う、年号を改むるには、大臣勅を奉りて、文章博士に仰せて、年号を勘申せしめ、奏聞し、勘定の後、内記に仰せて詔書を作らしめ、草及び清書を奏し、御画日を賜い、中務に下す、中務案を太政官に度し、太政官連暑し、(○署カ)大納言覆奏し畢りて、施行の官符を下す、云々。
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『玉勝間』十二の巻 いにしへ神事を重くせられし事書紀天智天皇の御巻に、九年三月、山の御井の傍らに於て、諸神の座を敷きて、幣帛を班つ、中臣金の連祝詞を宣る、と見えたり。そのかみ中臣の氏人は、ここら有りつらむに、金の連にしも、祝詞を宣らしめ給えるをもて、古え神事を、いみしく重くせられしほどを知るべし。この連公この時位は、大錦上にて、正四位上にあたれども、そのかみ第二の臣にて、明年正月に、右大臣に任ぜられて、いと重き人にぞ有りける。そもそもこの天皇は、殊にから御心におわしまして、万づにもろこしぶりをならい移されたる御世なりしかども、なお神事のやんごとなかりし事は、かくぞ有りし。
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『玉勝間』二の巻 御即位後奉幣諸神祝詞同じ記のつづきにまた云わく、天慶九年四月十五日の外記日記に云う、天皇即位す、仍りて五畿内七道諸国の天神地祇に幣帛を奉らんが為に、五畿内は諸司の物を以て宛て用い、諸国は当の正税を以て之に宛て用う、使は道毎に神祇の中臣斎部等を差す、(各駅鈴一口を給う、但し畿内の使には給わず、)また五畿七道諸国の諸神に奉幣する日、廃務の有無の事、天禄元年三月廿日辛酉、終日雨降る、上卿参らず、仍りて政無きなり、今日天皇御即位の後、先例に依りて五畿七道諸国の諸名神に奉幣する使を発遣せらるるなり、件の使等は、神祇官の先日差し申すに依りて、大中臣斎部等を以て其の官と為し、諸国に符し給う、但し神祇官より件の使等を立つ。また、畿内七道の使の官符八枚、七道の幣料、正税を以て之に宛つべき官符五枚等なり、合わせて十五枚、と見えたり。この記は、後の小野の宮の右大臣実資公の日記なり。
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『玉勝間』十三の巻 天ノ下の諸神おしなべて正六位上に叙せらるる事文徳実録に、仁寿元年正月甲戌朔庚子、詔す、天下の諸神、有位無位を論ぜず、正六位上に叙す。
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