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玉勝間 / 七の巻 御世御世の大嘗月日悠紀主基国郡

右の件、同書にしるせるをとりてしるせり。ところどころ缺けたる事も有れば、誤れることも有らむか、知られねど、いとま無くて、え考へ正さず、唯だ本のままにしるせり。

新字:右の件、同書にしるせるをとりてしるせり。ところどころ欠けたる事も有れば、誤れることも有らむか、知られねど、いとま無くて、え考へ正さず、唯だ本のままにしるせり。

書き下し

右の件、同書にしるせるをとりてしるせり。ところどころ欠けたる事も有れば、誤れることも有らむか、知られねど、いとま無くて、え考え正さず、ただ本のままにしるせり。

現代語訳

右の一覧は、同じ書にしるしてあるものを取って記した。ところどころ欠けていることもあるので、誤っていることもあるかもしれないが、それはわからない。暇がなくて考え正すことができず、ただ元の本のままに記した。

解説

大嘗祭の一覧を写し終えた後に添えた断り書きである。所々に欠けがあり、誤りもあるかもしれないが、確かめる暇がないので原本のまま記した、と宣長は言う。実際に一覧には御禊の日付や屏風の書き手が抜けている代がある。ここで大事なのは、確かめていないものを確かめたかのように整えて出さない、という態度である。手を入れれば見た目は整うが、どこが原本でどこが推測かがわからなくなる。原本のままに示し、未検証であると明記すれば、後の人が別の史料と照らして正すことができる。宣長は古事記伝でも、底本の字と自分の考えを厳密に分けて示した。資料を扱う者にとって、自分の作業の限界を正直に書くことは、内容そのものと同じくらい大切な情報である。今の仕事でも、未確認の数字を未確認と明記することは信頼の基本である。

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